【GDO EYE】片山晋呉「マスターズは見るものじゃない!出るものだ」
2011年の国内男子ツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」の初日に、10年前にこの大会を制した片山晋呉が、1イーグル、4バーディの6アンダーをマークして首位タイに立った。「この風だからアンダーパーは出ると思ったけど・・・」という片山。この日はコースを吹きぬける強風は出ず、穏やかな1日だった。
好スコアの要因は、片山が分析するには技術面ではなく精神面が大きいという。オフシーズンには例年通り宮崎県で合宿を行ったが、今年はメンタル面の強化も行った。「僕は自分が思っていることを、あまり吐き出さないんです。でも今はカウンセリングとかで言うようにしています。それと、11年ぶりにコンビを組むキャディからも、ガツガツしたところが無なくなったとか言われちゃって・・・」。
2008年に日本オープンで2度目のタイトルを掴み、ツアー25勝の永久シードを獲得した片山は、ある種燃え尽き症候群のような無気力に苛まれてしまった。そして、09年、10年は以前のようなゴルフへの意欲が沸かない状態でシーズンを過ごしてしまった。
しかし、このオフで“やる気”を取り戻した片山はこの開幕戦から、意欲的にゴルフをしている。もう一つ、片山を奮い立たせるものがある。それが「マスターズ」だ。2001年の初出場から、昨年まで9回出場してきた片山の元に「お前は今どこに居るんだ?マスターズに戻って来いよ」という激励のメールが、米国の仲間から届いた。
「テレビでマスターズは見ましたけど、やっぱり見ている場合じゃないよなって思いましたね。マスターズは自分で出るもんだなって」と、自らを奮い立たせる。石川遼の登場以来、徐々に存在感が薄くなってしまったが、2000年から08年まで男子ゴルフ界を背負ってきたのは間違いなく片山晋呉だ。世代交代も必要だが、その前に実力のある選手たちが、台頭する若手と張り合う姿こそ、ツアー全体の盛り上がりには必須だ。(編集部:本橋英治)