「JKG」の次は「Commit」 凱旋プレーの中島啓太を支える合言葉
◇国内&欧州男子ツアー共催◇ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 初日(25日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)
DPワールドツアー(欧州ツアー)で優勝してから初めての日本でのプレー。中島啓太は「今週の大事さは分かっている」と話す。いつもの入念な準備は変わりないが、「やっぱり予選落ちをするわけにはいかない」。数少ない日本での戦いを最高のタイミングで目に焼き付けようと、週末に足を運ぶことを約束してくれている人もたくさんいるからだ。
ボギーなしの4アンダー「66」。鉄壁のスコアに見えて、最初に訪れたのは大ピンチだった。2ホール目の11番、505ydと距離の長いパー4で1Wショットを左の林に打ち込んだ。セカンドは横に出すだけ。3打目も180ydほど残ったが、7Iで2.5mほどに絡めて1パットのパーでしのいだ。
「あそこはフェアウェイからでも難しいホールで、ボギーを打つ選手もいる。曲げた時点で『4.5』くらいのスコアは覚悟しました」。完ぺきだった3打目も、欲をかかずにグリーンのいい位置に運ぶことだけを心掛けた結果だった。ピンチの場面に象徴される冷静沈着なプレーは、岡崎錬キャディとラウンド中に言い続けているという合言葉とも関係がありそう。「『目の前の一打にコミット』っていう言葉にハマっていて。流れがいい時でも調子に乗らないように、毎ホール言ってますね」と笑う。
盟友の金谷拓実からメッセージで送られた「JKG(Just Keep Going/前進あるのみ)」とともに、「ヒーローインディアンオープン」優勝を支えたフレーズでもある。インドでの大会中はナショナルチームのメンタルパフォーマンスコーチ、ニール・スミス氏と毎日LINEでやり取り。2打リードで2日目を終えて「身体がフワフワする。緊張もしている」と打ち明けた時に言われた。「勝つことが大事ではなくて、目の前の一打にコミットし続けることが大事なんだ」
今週、コースでガレス・ジョーンズ・コーチとともに見守るスミス氏の教えを実践するかのような11番のガマン。シャンクのミスが出た後、7m近いパーパットを沈めてこぶしを握った後半5番を含め、「4バーディよりも、その2つに価値がある」とうなずく。
「かなり緊張して疲れた感じもある。しっかり休んで、頭をスッキリさせたい。このままボギーフリーで回ることは恐らくないと思うので、冷静に対応していって、週末にいい位置でプレーしたい」。濃霧の影響でスタートが2時間50分遅れてもしっかり好スタートを決め、ほっと息を吐いた。(静岡県御殿場市/亀山泰宏)