最後の会話は「たこせんべい」 中島啓太が金谷拓実と話さない理由
◇国内男子◇ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント 3日目(10日)◇麻生飯塚GC (福岡)◇6809yd(パー72)◇晴れ(観衆1319人)
「フッ…」と中島啓太が鼻で笑った。「9個伸ばしても1個しか差が詰まらないような先輩なんです」。この日のベストスコア「63」で、首位の金谷拓実に3打差とした一日をあきれたように振り返った。
スタート1、3番の“サービスロング”をともに2オン2パットでまとめ、3連続バーディ発進を決めた。9番では10mのパットを流し込んだ。12番(パー5)は残り206ydから5番アイアンで2オンさせ、12mをねじ込むイーグルを決めた。そしてノーボギー。それでも1打しか縮まらない…。ただ、苛立ちもない。「もう“免疫”ができてますから」。最終18番で金谷が6mを入れて奪ったバーディも「獲るんだろうなって思ってました。ナイスバーディですけど、あまり驚かなかったです」という。
ジュニア時代、どちらが勝っても史上最年少優勝だった2015年の「日本アマ」決勝(36ホール・マッチプレー)で金谷に敗れた。JGAのナショナルチームで一緒に戦い、ともに練習もした。ツアー競技で同組になったのはきょうで7度目。2歳年上の金谷の力と驚異的なメンタルは、身にしみている。
そんな金谷との関係に、最近ある変化が出てきた。この日は同組で回っても、一切会話はなし。「(同組の時)以前はもうちょっとしゃべってたんですけど…。3週連続で優勝を争ってますし」。今大会で3週連続となる、金谷との最終日最終組が始まった先々週「ミズノオープン」から会話が消えた。
「最後にしゃべったのはことしの中日クラウンズですかね。僕がたこせんべいを食べていたら“かわい子ぶってんじゃないよ”と言われて。別にたこせんべい食べるの、かわいくないですよね?」。最終日、最終組の4組前と優勝争いから少し離れたポジションにいたこともあり、なんてことない会話を交わした。
だが、その雰囲気も嫌じゃない。「金谷さんと別々の世界観でやっているというか…。その中で金谷さんは高いスポーツマンシップを持っていて。そうですね、そういうの好きです」。金谷が相手だからこそ、感じるやりがいがある。最終日に直接対決で逆転し、念願のプロ初優勝を手にできたら…。「どんな気持ちになるんだろう? でも(金谷の)“上”に行ったとは思えないでしょうね」。今後も変わらず背中を追う存在だが、まずは1度でも目標の人に勝ちたい。(福岡県桂川町/加藤裕一)