「ごまかさずにやりたい」 石川遼は今季初勝利に浮かれず
◇国内男子◇ダンロップフェニックストーナメント 事前情報(16日)◇フェニックスCC(宮崎)◇7042yd(パー71)
約3年ぶりの勝利の味に“深酔い”した様子はみじんもなかった。「三井住友VISA太平洋マスターズ」で大会3勝目を挙げてから3日後、石川遼は「割とフラットな感情でいます」と気持ちを落ち着けて宮崎で集中力を高めた。
周囲からの祝福メッセージを喜びつつ、それぞれの反響もどこか冷静に、客観的に受け止めている。「(プレーオフ負けした9月)ANAオープンと72ホール終わった時点で1位タイだったのは同じだが、サドンデスで勝敗がついた。スポーツの世界は、こういうことなんだなと。今年は両方を経験できた」。優勝することで得られるものの大きさを改めて肌で感じた。
絶好調で勝ったとは言い難い。だからこそ、次の一歩を大事にしたい思い。「しっかりプロセスを踏んでいくことが、結果につながっていくというのを自分に浸透させていく。コンスタントに結果を出すために何が必要か(の追求を)をごまかさずにやっていきたい」
前週最終日は勝負どころの14番で2打目をグリーン手前の池に入れた。振り返れば、見過ごせない大きなミスのひとつ。「前のめりに結果を出したい欲はあると思うので、そういうときこそ何に集中すべきかを考える」。開幕前日のプロアマ戦では、スイングのチェックポイントを確認し続ける姿があった。
この大会にはアマチュア時代の2007年から出場。プロ1年目、08年の2位が最高成績で通算18勝の中にフェニックスのタイトルはない。むしろ伝統の林間コースには苦しんできた印象だ。「難しいイメージがすごくある。特に後半は13番を除くと15番まで難しいホールが続く。リズムを取りにくい」
前回出場した2020年大会の8位は自信回復につながったようで、「チャンスを作れるかなというホールが全体を通して自分には半分くらいしかない。自分にとって難しい9ホールでゼロボギーは考えにくい」と思案する。「めちゃくちゃよくても5バーディ、2ボギーくらいかなあ…。何年来ても60台で回るのは難しい」。コースとの慎重な向き合い方は崩さなかった。(宮崎市/桂川洋一)