2022年 バンテリン東海C

待ってろ“ZOZO”! 河本力が史上3人目のルーキーシーズン複数回優勝

2022/10/02 17:51
ウィニングパットを沈めてガッツポーズの河本力

◇国内男子◇バンテリン東海クラシック 最終日(2日)◇三好CC西コース (愛知)◇7300yd(パー71)

鼓動のペースが上がったのが、はっきり分かった。きっとワールドクラスと言えるイーグルを奪った後、河本力の緊張感はピークに達した。後半15番(パー5)、右ラフから池越えの第2打は残り214yd。6Iで“吹かせて”右からの風に乗せたボールはピンそば2mについた。フックラインを沈め、桂川有人から奪った2打のリード。それは突如、重圧になった。

4打ビハインドだったスタート時を思えば、上がり3ホールを残して逆転し2打差は「想定外」。動揺を制御できず、16番(パー3)からティショットを乱して2連続ボギーをたたいて差は再びなくなった。土壇場でもう一度、取り戻した挑戦者の気持ち。最終18番、右ラフから残り134yd、ロフト54度のウェッジでの2打目はピン奥5m、桂川よりわずか5cm内側につき、先に打ったライバルのラインも参考にしてバーディパットを流し込んだ。

15番でイーグルを奪った

喜びと家族への感謝で泣きはらした8月「Sansan KBCオーガスタ」以来の2勝目に涙はなかった。終わってみれば「69」で通算13アンダー、4日間60台を並べたが、「まだ実感が湧かなくて。本当に優勝したのかなと。最終ホールをバーディで勝てたのが気持ちよかったというか、苦しかった」という言葉が逆転劇の興奮を物語った。

2013年の松山英樹、20-21年シーズンの金谷拓実に次いで、史上3人目の年間複数回優勝を上げたルーキーになった(詳細な記録の残る1985年以降)。自ら「武器にも、凶器にもなる」と言う飛距離を、体を強くすることで確固たる長所にしようと必死に鍛えたオフ。汗を流しながらシーズンの目標を「ZOZOチャンピオンシップに出ること」に定めてきた。

最終18番は桂川有人がチャンスに付けたのを見てピンを狙う作戦に変更した

唯一の日本開催のPGAツアー競技は次週「For The Players By The Players」(群馬・THE RAYSUM)終了時の賞金ランキング上位8人が出場権を獲得する。トップの比嘉一貴は6月「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビル杯」優勝ですでに資格を保持しており、5位の稲森佑貴は新リーグ「LIV招待」参戦により出場を認められないため、ボーダーラインは10位。河本は17位だった順位を6位に上げ、フィールドに滑り込んだ。

後輩の中島啓太から祝福

「キャリアの目標、最終到達点はPGAツアー、海外メジャー。(ZOZOで)これまで歴代優勝されたのはタイガー・ウッズパトリック・カントレー、松山さんと錚々(そうそう)たる面々。もちろん優勝は狙いたいが、自分のレベルを知りたい」。跳ね返されるかもしれないと分かっていても、ぶつかりたい次の壁。目一杯の期待で胸を高鳴らせた。(愛知県みよし市/桂川洋一)

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