「あのときチラッと映ったんです」 蝉川泰果は金谷先輩に続けるか
「金谷さんが優勝したとき、最後のイーグルパットを見ていてチラッとテレビに映ったんですよ」とうれしそうに話す蝉川泰果(東北福祉大4年)が、今度は自身が脚光を浴びようとしている。
2019年「三井住友VISA太平洋マスターズ」で、金谷拓実がアマチュア優勝を決めた瞬間を18番グリーンのそばで見ていた。当時はアマチュアで出場していた米澤蓮のキャディとして会場に来ていたが、今大会では一選手として先輩の快挙達成に近づいた。6バーディ、2ボギーの「67」で回り、通算11アンダーまで伸ばして単独首位で決勝進出した。
優勝すれば史上6人目のアマチュアV。地元の兵庫県出身で「関西オープン」出場はこれで7度目だが、上位争いはおろか予選通過も今回が初めてだった。ラウンド中、リーダーボードの上位にある自分の名前を見て何度も気持ちを乱されかけたが、「とにかくバーディを獲るという目標に向けて、がむしゃらにやっていました」と必死に冷静さを保ってトップに立ち続けた。
「練習をしているので日々成長しているとは思うけど、気持ちの面で負けていた」とこれまでを振り返る。初めて挫折を味わったのは、高校3年生で出場した2018年「日本アマチュアゴルフ選手権」。荒天のため全員が36ホールを回り切れず大会不成立になったが、第2ラウンドまで回り切った今野大喜が、後続に7打差をつけて通算12アンダーで独走していた。
一方、自身は第1ラウンドを終えて4オーバー。「それまでプロで通用すると思っていたけど、今野さんを見て“こんなスコアは出ない”と思った。そのときに大学に行こうと決めました」と進学を決意。名門ゴルフ部で自分を高め、19、21年は「日本アマ」でトップ10入りを果たした。
「自分のプレーで、明日もしっかりアンダーパーを出せるようなゴルフがしたい」。大学で磨いた腕を、プロの世界で証明するときがやってきた。(兵庫県西宮市/谷口愛純)