「くさらずやるしかない」 32歳・薗田峻輔の現在地
最終戦はベテランが意地を見せた国内男子ツアーだが、2020-21年と長丁場のシーズンを振り返れば、女子に負けず劣らず若手の台頭と活躍が目立った。そんな中、18年に8年間守ったシードを喪失した32歳の中堅で、ツアー2勝の薗田峻輔は今季も再浮上を目指してもがき続けた。
来季優先出場順位を決める12月のQTはサードを通過できずにシーズンを終えた。「どういうリアクションをしたらいいか分かんないよ」。7日に茨城で行われたプロアマイベントを終えたところを直撃すると、笑ってそう言った。通算6オーバーで通過ラインに5打届かず最終QTに進めなかったわずか4日後。一年を振り返るのも来年の目標を語るのも、まだ早すぎたようだ。
「シード選手でずっと(試合を)やっていれば、(優勝など)変えられない目標が出てくるけど、僕の位置は全然違うので、その場に応じた目標になってしまう。まずひとつずつ関門をクリアしていく。なんせ自力で出られる試合が少ないので、その中では去年、一昨年と比べると少し変わったものになってきているという実感はあった」
手応えを感じたのは4月の「中日クラウンズ」。今季7試合出場したレギュラーツアーで最高の15位に入った試合だ。2018年に初日「81」をたたくなどして予選落ちした大会。「難しいコースで4日間プレーして、満足いくゴルフができた。そこから自分のゴルフが少し分かってきて自信が出てきた」
「それまでは一日だけ良かったりするけど、予選通過は困難というのが現実だった」が、これがきっかけで5月「アジアパシフィックダイヤモンドカップ」も予選を通過して29位。さらに下部Abemaツアーでは5月「太平洋クラブチャレンジ」で3位に入るなど、次戦の仕事場を確保できる15位以内が3度。9月の「PGM Challenge」では今年最高の2位となった。
ショットの不振などもあったが、「自分のゴルフを邪魔していた」のはメンタルの部分だという。「だけど、メンタルって自分で解いていかなきゃ壁は開けられない。いい経験だけじゃなく、悪い経験もしないといけない。その日、その瞬間の悪いイメージや感触、その経験が後々、あの時はこういうことだったのかと答え合わせができたりする。それで乗り越えられるものがある。くさらずやるしかない」というのが現在地だ。
「みんな遅かれ早かれ通る道」と言われたこともあったが、以前はそう思ったことはなかったという。だが、「今はまだ体力もある。周りの人にも支えてもらっているので」と受け入れている。「良くなってきたものを今度はいかに(試合で)出せるかが僕の課題。QTで自分のゴルフが出せなかったという悔しい思いがあるので、そういうのを課題にして。より安定したゴルフを目指して底上げですね。下に行ったときにどれぐらいでとどまれるか。ちょっとずつね。慌てたところで何も変わらない」
では、来年の目標は?「まだ終わったばっかり。もう少し今年を振り返らせてくださいよお」。気持ちの整理はこれからつける。(編集部・清野邦彦)