石川遼の気になる「3度」 御殿場で取り組むスイング修正
◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報(13日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)
石川遼は前週、沖縄での「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP」でシーズン初の予選落ちを喫した。10月に入って1Wショットの不振に陥り、ビッグトーナメントで成績を残せないまま賞金ランキングは1位から3位に後退。トップの今平周吾を約3865万円差で追う立場となった今、ある数字と向き合っている。
今季2勝を挙げて迎えた秋。スイングに微妙な乱れが生じたのは「東海クラシックだったと思います」と石川は言う。6週前の試合は連日、強い風が吹くなかで「セカンドショットでパンチショットばかりを打って、アイアンも良くなくなった」と振り返る。修正を施せないまま米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」などを消化不良のまま終え、ついには前週2日目、1Wを使わずに18ホールをプレーした。
感覚のズレを数字で強く認識したのも、その沖縄でのこと。弾道計測器によると、1Wショットでボールをとらえる瞬間のクラブヘッドの“入射角”が「ゼロ(度)」だった。「今年一番良かったときは“アッパーの3度”くらいで打てていた」というから差は大きい。いつのまにか、球を上から打ち込むような動きが加わり、乱調につながったという見方だ。
原因を発見したからといって、一朝一夕で復調するものではないと考えている。「数字だけ“ならす”のではなく、体(全体)のフィーリングから良い動きをしたなかで“3度”が直るのが本質的なところ。その感覚を戻さないといけない」と、小手先とは違う、根本的な改善にもう一度取り組むつもりだ。
この日はプロアマ戦で新井貴浩(プロ野球元広島)、鈴木啓太(サッカーJリーグ元浦和)、武井壮(タレント)との4サムでプレー。アスリート同士のラウンドで、石川はゴルフの質問を受けてばかり。「スポーツを極められた方たちなので、何をやっていても探求心がすごいと感じる。何に向き合うにしても、そういう姿勢は変わらないんだと思う」と感嘆した。
スイングが気になるとはいえ、ゲームへの集中力を欠くわけにはいかない。「きょうは1Wを(パー3を除く)全ホールで打った。良くなったが、1Wに集中しすぎるとゴルフにならない。アイアン、アプローチ、パットで組み立てていく」。2010年、12年と過去2勝を挙げたコースで結果も求めながら、カムバックのきっかけを探る。(静岡県御殿場市/桂川洋一)