石川遼はタイの23歳とも切磋琢磨 ロングアイアン好調で今季ベスト
◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2日目(27日)◇東広野ゴルフ倶楽部(兵庫)◇7058yd(パー71)
猛省の初日から一転、石川遼が持ち前の爆発力を見せた。1オーバー73位タイからの出遅れを1イーグル8バーディ、1ボギー、コースレコードに並ぶ「62」で取り返し、通算8アンダーの2位タイに急浮上した。首位のラヒル・ガンジー(インド)とは1打差。8月の「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」以来となる今季3勝目に大きな一歩を踏み出した。
前日35.71%だったフェアウェイキープ率は71.43%に上昇した。今季のベストスコアを呼び込んだのはそれだけではない。「アイアンが本当に今日はうまく打てた。内容もすごく良かった」というグリーンを攻め込むショットが冴えわたった。
スタートの1番は通常営業でのパー5をパー4にした505ydの長いホール。1W、5Iとつなぎ、ピンそば1mのチャンスを作ってバーディで滑り出す。大きな尾根が横たわるグリーンで、上りのパットを残すショットを連発。4番では8mをジャストタッチで沈めてガッツポーズを見せた。
バックナインでも止まらない。5mを流し込んだ11番(パー3)から2連続バーディ。12番(パー5)は残り242ydを3Iでピン手前2mにつけたイーグルチャンスを逃したものだった。「きょうは収穫がある。150、160ydのショットで2回くらい“入れ!”と思った」。アイアンの充実感を噛みしめたラウンドの締めくくりは18番(パー5)。池越えの第2打、残り226ydから4Iでドローボールを放ち、ピン奥1mにつけて今度こそイーグルを決めた。
最後のスーパーショットの直前、フェアウェイ上で番手選びに悩んだという。「池は避けたい。3Iのフェードで行くか、4Iをしっかり振ってドローで行くか」。仮にパーでも週末の優勝を争える位置にいたが、挑戦欲を優先させた。「ちょっとでも(クラブが)薄く入ったり、ドローがかからなかったら届かない。完ぺきなショットを打ってピッタリというクラブだった。でもチャレンジをしたい、挑戦者の気持ちでやりたいと」
隣でプレーしていたタイの23歳、ジャズ・ジェーンワタナノンドは直後に同じように積極策をとった。「彼は“世界”を見ている。そういう選手が同じように打ったのを見たときに、自分が見ている方向は合っていると思えた」(石川)。もう一度、目指すべき海の向こう。その姿勢が都度、間違っていないか。いまは一瞬、一瞬が評価の対象だ。
ワタナノンド(通算7アンダー)、そしてもう一人の同伴競技者である今平周吾(同8アンダー)と一緒に上位で週末に進んだ。「楽しみですね。まさか(苦手意識のあった)東広野で予選を通れるとは…。いま通れなかったら、いつ通るんだという感じですけど。自分のゴルフを信じてやらないと」。苦笑いをしまい込み、遅ればせながらタイトル争いの態勢を整えた。(兵庫県三木市/桂川洋一)