「いい報告をしてやろう」 比嘉一貴は松山英樹からのLINEで奮起
◇国内男子◇RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント 最終日(1日)◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡県)◇7103yd(パー72)
黄色いシャツをまとった比嘉一貴が通算26アンダーで後続に5打差をつけ、ツアー初優勝を飾った。「大学のときから最終日は黄色を着ることが多かった。プロ入りしてからも、最終日に黄色を着ることが多い」という。
米ツアーで活躍する松山英樹らを輩出した名門・東北福祉大の出身。比嘉にとって松山は「僕がいくら全力で走っても、追いつけない存在。まだまだ、何をすればこの人を超せるんだろうということすら見えないくらい」という。
コースレコードタイとなる「63」をマークした2日目には、松山からLINEで「ナイス!」というメッセージが届いた。「僕にはその『ナイス』というのが『このスコアを出して勝てなかったら、この先ないぞ』という風に聞こえて、いい報告をしてやろうという気持ちになりました」と身が引き締まった。
当初、大学に進学するつもりはなかったという。高校3年の秋にはプロの道を歩むべく、日本ツアーの予選会(QT)を受験した。しかし、1次QTの終了後、体育の授業でバスケットボールをプレー中に2度にわたり手の指を剥離骨折し、2次QTを断念した。「それがなかったら、大学には行ってなかったかもしれない」
その後「阿部(靖彦)監督に声をかけていただいて、拾っていただいた感じ」と大学進学を決めた。今では「ほんとに心から行って良かったと思っている。レベルの高いレギュラー争いだったり、伝説のOB、先輩たちとの合宿だったり」と比嘉を大きく成長させる4年間となった。
松山やタイガー・ウッズらが参戦を表明している、今年10月に日本で初開催される米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(千葉/アコーディア・習志野CC)への出場も可能性が見えてきた。国内ツアーからは今年の「ブリヂストンオープン」の上位3人と、同大会終了時点の賞金ランキング上位7人が出場できる。
「同じフィールドに立てるように、あと1勝するか、トップ5を外さないような成績を“連チャン”で残さないと難しいと思うので、ブリヂストンオープンまでの数試合でまた優勝できたらと思います」。憧れの先輩との競演を何としても、かなえたい。(福岡県糸島市/柴田雄平)