2019年 WMフェニックスオープン

天国の友と一緒に 首位ファウラーは“スタジアム16番”で祈り

2019/02/03 11:45
亡き友に何を伝えたのだろう(Christian Petersen/Getty Images)

◇米国男子◇ウェイストマネジメント フェニックスオープン 3日目(2日)◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)

ホールの全周を2万人収容の巨大スタンドが囲む16番(パー3)。フェニックスオープンの、いやPGAツアーの名物ホールのティイングエリアにはこの日、黒いキャディバッグが飾られていた。首位を独走するリッキー・ファウラーは、バッグに添えられた黄色いチューリップハットを触ってからティショットへ。喧騒にまぎれたこの小さな振る舞いは亡き友人へのメッセージだった。

昨年8月、かつてPGAツアーでプレーしたジャロッド・ライル(オーストラリア)が白血病で死去した。17歳の時に急性骨髄白血病を発症し、克服と再発を繰り返して36歳の若さでこの世を去った。レギュラーツアーでの優勝は結局なかったが、2011年にこの16番でマークしたホールインワンは、キャリアを代表する名場面だった。

16番に飾られたバッグとクラブ、ハットはライルがかつて愛用したモデルだ。ファウラーはこの日、緑のキャップに、ライルの家族と白血病患者をサポートする基金のシンボルである、黄色いアヒルのピンバッジをつけてプレー。「(ライルのホールインワンは)この大会にとって特別な瞬間だったはず。16番のすべてのエースが最高にクールで記憶に残るものだけど、ジャロッドが歩んできたことを考えるとね。彼は忘れられない男なんだ」と、今後も活動をPRすることで亡き友人に報いるつもりだ。

通算20アンダー、後続に4打差をつけて2年ぶりのツアー優勝に向けてラストスパートをかける。(アリゾナ州スコッツデール/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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