松山英樹と5年目のスタッツを読む
◇米国男子◇ツアー選手権 最終日(23日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7385yd(パー70)
今年もアトランタでシーズンを終えることができた。イーストレイクGCでの「ツアー選手権」は前年秋に開幕したフェデックスカップポイントレースの上位30人だけが立つことを許された舞台。松山英樹のPGAツアー本格参戦5年目となった2017―18年シーズンは優勝なしに終わり、ポイントランキングは13位。内容と数字への本人の不満は多い。
■獲得賞金の約5分の2をプレーオフ4戦で稼ぐ
2月の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」の2日目の朝、松山は左手親指の付け根付近に痛みを覚えて大会を途中棄権した。その後予定していた3試合を欠場したこともあり、出場した試合数「21」は5シーズンで最少だった。
年間獲得賞金268万7477ドル(約3億244万円)も自己ワーストだったが、プレーオフシリーズ全4戦で105万ドル(約1億1816万円)を荒稼ぎした。レギュラーシーズン終了時点のポイントランク76位から13位に上げて終えたが、「たまたま、プレーオフで頑張れた感じ。それ以外で頑張れなかった」と返す。
メジャーでは2015年以降初めて年間を通じてトップ10入りがなかった。シーズンの成績に目を通すと、「予選を18回(予選カットのない試合を含む)も通ってるんですね。意外と落ちていない。そこは(感覚との)ギャップがある」と驚く様子も、悩む時期の長さを表しているかもしれない。
■パッティング部門は過去最高
シーズンを長い目で見た場合の成績は、ショット、チップ、パットといった各部門の平均スタッツとの関連性が強まる。ゴルフは天候に大きく左右され、ツアーでは選手によって出場試合が異なるため、厳密な比較はできないとはいえ、大きな参考材料だ。
松山は「2015年の数字はすごい」と振り返った。「フェアウェイキープ率が65%もあったんですね。そこからの下がり方がひどい。(17年に)57%まで下がるかね…。このティショットの飛距離(15年当時294.5yd/57位)で、よくパーオン率が21位(69.2%)になった。優勝がなくても、トップ10に9回入った理由だと思う。曲がらず、グリーンに乗って、パターがまずまずという数字」。昨シーズン以降、平均飛距離の伸びが顕著だが、これは松山に限らず現在のPGAツアーのトップ選手の主流になっている。
平均ストローク「70.022」の順位23位は、参戦後ワーストになった。自他ともに課題と見ているグリーン上では、ツアー独自の指標であるストローク・ゲインド・パッティング部門(スコアに対するパットの貢献度を示す)はキャリアで優れた成績を残した。これについて「前から知っていました」と言うが、技術的な進歩の実感は「ないです」と断じた。
反面、ティショットからグリーンにたどり着くまでの数字が目に付いた。「ストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーン(+1.028)がすごく悪い」。ツアー全体では18位という成績だが、過去4年でのワーストが2015年の7位だった松山にしてみれば、不満が残る。
終盤の駆け込みで5年続けて最終戦に進んだことで、「マスターズ」をはじめとした来年のメジャー出場権も確保した。目指すべき理想はまだずっと先にある。「やっぱり自分のゴルフはショットでどれだけ安定感を出せるかだと思う。今年の初めのような崩れ方をしないものを作っていけたら。パットは常に課題。そこは今まで以上に時間を取りたい」と6年目のシーズンを見据えた。(ジョージア州アトランタ/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw