「マスターズへ慎重に」松山英樹の検査結果とトレーナーの見解
◇米国男子◇アーノルド・パーマー招待byマスターカード 事前情報(14日)◇ベイヒルクラブ&ロッジ◇7419yd(パー72)
2月上旬、「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で左手親指の付け根の痛みが出た松山英樹は、試合を途中棄権したその夜には西海岸から一時帰国の途についた。日本に到着してからは複数の病院を回って精密検査に臨んだ。診断結果はいずれも「異常なし」だった。
国内での静養中も帯同を続けた飯田光輝トレーナーは「セカンドオピニオン、サードオピニオン…と続けて診断結果を聞きました。でもMRI(磁気共鳴画像)検査も、血液検査も問題はなかった。あらゆる可能性を疑ったが、大きな異常は出なかった」と説明した。実際のところ、本人も痛みは日本に戻ってからほどなくして消えたという。
松山は、2013年後半にも左手親指の付け根に痛みが生じた。時間をかけて治療を重ね、軽傷にとどめてきたが、1カ月半前に痛めたのは別の箇所だ。簡単に言えば、“古傷”が手首に近い部分であるのに対し、今回は手の平の一部分だ。
確かに患部にはわずかな炎症が見られたものの、日常生活にも支障はない。医師が「なんとかして病名をつけなければいけないような状態だった」という。「左親指MP関節側副じん帯の炎症」という診断はそんな状況で下された。
「心配していた筋断裂や腱の損傷はありませんでした。(故障当時は)スイングをする過程で、患部に極度のストレスがかかった可能性がある。今後、元気にプレーできる状態を保つためには指から、手首、ひじ、肩、股関節…といった体のすべてのバランスを整えていく必要があります」いうのが飯田トレーナーの現段階の分析。復帰戦となる15日(木)開幕の「アーノルド・パーマー招待」に備え、2週前に再渡米してからはテーピングも巻くことなく練習に励んできた。
復帰が噂されていた2週前の「メキシコ選手権」、前週の「バルスパー選手権」は出場予定をキャンセルしたが、飯田トレーナーは「無理をして出ようと思えば出られた」と振り返る。「でも、マスターズに照準を合わせて慎重に行動しているところ。当面は日々の球数制限も考えながらやっていくのがいい。今、もう一回痛みが出ると、マスターズに“間に合わない”可能性がある。もちろん、痛みを押して出ることはできるかもしれません。でも、勝つ確率を上げるためには、今ケガをするわけにはいかない」
松山はブランク明けの試合勘不足について「アーノルド・パーマー招待については少しあるけれど、マスターズについての不安はない」と話した。メジャー3週前のセットアップは、ただオーガスタに行くためではない。グリーンジャケットを着るためだ。(フロリダ州オーランド/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw