2016年 ウェルズファーゴ選手権

松山英樹が感じるマキロイ&ファウラーとの差

2016/05/07 10:25
松山英樹が見つめるマキロイ&ファウラーとの距離とは

来年、「全米プロゴルフ選手権」が行われるクエイルホロークラブは既に、メジャー級の人入りと言って良かった。少なくとも、この組においては。「ウェルズファーゴ選手権」で4週ぶりにツアーに出場した松山英樹が、予選2日間で同組になったのは、ロリー・マキロイ(北アイルランド)とリッキー・ファウラーのふたり。豪華ペアリングのラウンドを終えると、彼らと自分との『差』について素直な心境を吐露した。

「彼らのすごさ?『人気』じゃないですか。いつも人が多い中で、普通にやっているのがカッコいい」と話していたのは、試合前のこと。大ギャラリーを引き連れた最注目組での2日間は、少々コクがありすぎた。

「楽しいのは楽しいですよ。でも、もうちょっと落ち着いてやりたい…(笑)。初日から最終組みたいな雰囲気でやりたくない。自分が良い状態だったら、いいんですけどね。なかなかまだそんな状況じゃない」。4月の「マスターズ」から3週間のオフを経て迎えた復帰戦。2月「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」では完全アウエーの状況でファウラーをぶちのめしたくらいだから、何をいまさら…とも思ってしまうが、メンタル面の消耗度は、並大抵ではないらしい。

大観衆にも動じない精神的なタフさもさることながら、松山は年上のふたりについて技術的な差を再認識した。まずは、小気味よく1Wを振りきる抜群の飛距離性能。2日間の平均はマキロイが304.9yd、ファウラー295.5ydで、松山は290.5ydだった。実際には2日目の最終18番など、ファウラーをオーバードライブするシーンも多くあるのだが、なぜか好結果には「いいや、差が詰まっている感じはしない!本気出してないですよ、アイツら」と、そっぽを向く。

だが、松山が「ぜんぜん違う」と語るものは別にある。

「100yd以内のアプローチショット。グリーンに落ちてからのボールの止まり方をもっと考えていかなきゃいけない。そんなに調子良さそうに見えないけれど、しっかりまとめてくる。その辺の差が(スコアに)そのまま出ている」

予選カットラインギリギリで決勝ラウンドに進んだ2日目、松山を苦しめたのは奇しくもそのポイントだった。最初のボギーを叩いた6番(パー3)ではグリーン左からのアプローチに失敗、2つ目のボギーとした8番では左ラフから50ydほどの2打目、続く奥ラフからのウェッジショットに失敗。アンダーパーグループでプレーを続けたふたりに、スコアでおいていかれた。

「あれだけ飛ばして、グリーンに乗っけて、アプローチがうまかったら、そりゃスコアは出る。ショートゲームが良いから、あれだけドライバーを振っていけるんだと思う。いまの僕には持っていないもの。アプローチに限っては、調子が良い、悪いというのはあまりないと思う。これがいまの僕の力。いま(アプローチで)打っている半分くらいに寄れば、もっと変わってくると思う。そこを目指してやっていきたい」

飛距離の差を生む理由のひとつは、ショートゲームの差。彼らとの距離感を埋めるべく導き出した答えは、逆算的で論理的だった。

ただ、それでもだ。世界ランク3位のマキロイ、5位のファウラーと、14位の松山は、これまでも存分に渡り合ってきたはずだ。ふたりに対して、松山の方が前を行っている『差』もあって、しかるべきだと思うのだが。(ノースカロライナ州シャーロット/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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