2016年 RBCヘリテージ

プロデビューのデシャンボーは4位「自信を深めている」

2016/04/18 09:26
プロデビュー戦で4位に入ったブライソン・デシャンボー(Jared C. Tilton/Getty Images)

鮮やかな赤いシャツに紺のズボン、頭にはトレードマークの真っ白なハンチング。今週の「RBCヘリテージ」がプロデビュー戦となった22歳のブライソン・デシャンボーが残したのは、4位タイという堂々たる成績だけではない。若者らしい爽やかさとチャレンジ精神、信念。ハーバータウンの真っ青な空に屹立する紅白縞の灯台のごとく、プロの世界に一歩を記した。

「ここ数日に比べてパットが入った。残念ながら1Wは少し散らかっていたけれど…」。最終日に5バーディ、2ボギーの「68」(パー71)と追い上げた。優勝したブレンダン・グレース(南アフリカ)には4打及ばなかったが、「自信を得た。先週21位で今週はトップ10。毎週毎週、自信を深めている」と笑顔を見せた。

粋だったのは、ホールアウトした直後だ。アテストを終え、数社のテレビインタビューをこなしたデシャンボーを待っていたのは、柵に群がってサインを求める大勢の子供たち。すると、デシャンボーはかぶっていた白いハンチングを脱ぎ、赤いペンでさらさらとサインを書いた。そして、それをフリスビーのようにしてふわりと柵の向こうに投げ込んだ。

「ファンの応援は素晴らしかった。僕はできる限り、彼らに良く接しようと努力している。だって彼らこそ、このツアーの全プロセスを可能にしている存在だからね」

デシャンボーのクラブは1本1本に名前が付けられている。たとえば5IはAzalea(オーガスタで好きなパー5/13番)、9Iはジャッキー(ロビンソン/野球選手で背番号42、ロフトも42度)といった具合

アマチュアとしてPGAツアーでは5戦を経験した。デシャンボーはこの期間をインターンシップと呼んでいるが「この過程を経たのは、ツアーで快適だと感じられるようにするのが目的だった。とてもうまくできたと思う」と振り返った。

今年、PGAツアーの出場権を持たないデシャンボーは、推薦出場に頼ってシード獲得を目指している。ノンメンバーの推薦出場の上限は7試合。今週すでに1試合を消化したが、同じく推薦出場が決まっていた次週の「バレロテキサスオープン」は、今週10位以内に入ったことで、自力で出場権をもぎとった。

ホールアウト後、数ホールをついて歩いた筆者を見つけたデシャンボーは「会えて良かったよ」と言って握手してきた。爽やかな対応はスター性充分だ。がっしりした右手に、大きな未来が感じられた。(サウスカロライナ州ヒルトンヘッドアイランド/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

最終日のホールアウト後、群がる子供たちに丁寧にサインをするブライソン・デシャンボー
キャディバッグにはぎっしりと数字の書かれたメモがつけられている。ウェッジ毎に振り幅(時計の短針の位置)と距離を記したもの。

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