2016年 バルスパー選手権

アンカリング禁止 ブラッドリーは“仲間”の再起に?

2016/03/11 12:22
「いまは最も大変な時期」と語るブラッドリーが首位で発進した(Sam Greenwood/Getty Images)

騒動の発端となったひとりは、この人と言ってもよい。キーガン・ブラッドリーは2011年の「全米プロゴルフ選手権」で、史上初めて中尺パターでメジャーを制したプレーヤーになった。グリップエンドなどを体の一部に固定してストロークするアンカリングに関する議論が高まり、今年1月にアンカリング規制が開始。ブラッドリーをはじめ、多くの選手が中長尺パターを手放した。

最後に優勝を飾ったのは2012年の夏。「WGCブリヂストンインビテーショナル」を、もちろん中尺で制して以来タイトルがない。昨年は、フェデックスカップランキング60位で終了。13年夏に10位だった世界ランキングは、現在89位まで落ち込んだ。

直近2試合で予選落ちを喫して臨んだ今週の「バルスパー選手権」で、4アンダーの首位スタートを切った。「いまはキャリアで最も大変な時期」だという。今年に入ってからダレン・メイという、カミロ・ビジェガス(コロンビア)らを指導するコーチとコンビを組んで試行錯誤。最近になって、レギュラーサイズのパターをシーズン当初のモデルに戻すなど模索を続けている。

そんなブラッドリーに勇気を与えたのが、昨年まで長尺パターを握っていたアダム・スコット(オーストラリア)だ。2週前の「ザ・ホンダクラシック」、前週の「WGCキャデラック選手権」と2連勝し、アンカリング規制を乗り越えた“仲間”の再起。ブラッドリーは「本当にすばらしい。すごくうれしく感じた自分に驚いたくらいだ。彼が2度も勝ったのを見て、何度もパットを決めていく様子を見て、刺激を受けた。感謝したい」と話した。

ツアーに本格参戦した2011年以来の出場となった今大会。会場のフロリダ州イニスブルックリゾートでは、13歳のときに父のバッグを担いでキャディを務め、米国女子ツアーで活躍した世界殿堂入り選手である叔母のパット・ブラッドリーと一緒に回ったことがある。思い出の残るコースで、スコットに続く“克服”をアピールできるか。(フロリダ州パームハーバー/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

2016年 バルスパー選手権