2014年 BMW選手権

舞台はマイル・ハイ・シティ マキロイが採った戦術

2014/09/05 11:06
圧倒的な飛距離を誇るマキロイだが、高地ではそれ以上に大切なことも…

コロラド州のチェリーヒルズCCで開幕したフェデックスカッププレーオフ第3戦「BMW選手権」初日。ロリー・マキロイ(北アイルランド)が好発進を切った。上がり3ホールで2ボギーを叩いてフィニッシュしたものの、5バーディが生きて「67」(パー70)。ゲーリー・ウッドランドジョーダン・スピースと並んで3アンダーの首位タイで滑り出した。

インから出たマキロイは序盤12番(パー3)で第1打をピンそば1メートル強に絡めて最初のバーディ。17番(パー5)で2つ目を獲ると、折り返し直後、6メートルを勢い良く沈めた1番から3連続バーディを決めた。

終盤にスコアを落として単独首位発進こそ逃したが、「たぶん今年最高の“寄せワン”じゃないかな」と分厚い胸を張ったのは5番のパーセーブ。ティショットから左ラフ、右ラフと渡り歩き、第3打は強烈なつま先上がりの斜面から。残り25ヤードを、野球の打者のようにウェッジを“横振り”し、ドロー回転で転がったボールはピンそば2メートルにつき、これを沈めた。

マキロイは2年前の大会チャンピオンだが、開催会場は今年、初めてコロラド州デンバーに移り、初体験のコースをプレーしている。標高が1マイル(約1600メートル)に位置することから「マイル・ハイ・シティ」と呼ばれる山岳都市は、空気が澄み、日差しが痛いほどに肌に刺さる。加えて、選手たちにとっての敵のひとつは、気圧が下がる関係で普段より出るボールの飛距離だ。

この日は「いつもより10~15%程度飛ぶ」という計算でショットを放ったマキロイ。「自分のショットがどれだけ飛ぶかを信じられれば難しいことはないと思うんだ。もっと寒くて、曇っていたとしても今日は10%以上飛ぶことを計算するのが必要だと言っただろう。とにかく自分の計算を信用することだ」と、戦いのポイントを語る。

「7,352ヤード、パー70」の数字では測れない、高地を舞台にしたエリート選手たちのハイレベルな熱戦。それを制した先に年間王者に続く道がある。(コロラド州デンバー/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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