これぞ地元愛 キーガン・ブラッドリーのキャディバッグ
この日、一番の歓声を集めたのは彼かもしれない。フェデックスカッププレーオフ第2戦「ドイツバンク選手権」初日。午前9時8分、松山英樹の前の組で万雷の拍手を受けてティオフしたのはキーガン・ブラッドリー。会場のTPCボストンのあるマサチューセッツ州は、愛着のある地元のひとつだ。
米女子ツアーで世界殿堂入りしたパット・ブラッドリーを叔母に持つキーガンは、バーモント州で生まれ、高校時代をマサチューセッツで過ごし、その後ニューヨークにあるセント・ジョーンズ大学に進学した。このニューイングランド地方、特にボストンへの愛着は深く、昨年大会では150人近くを招待したほど。
そしてこの初日は6バーディ、ノーボギーの「65」をマークして6アンダーの2位と好発進。「この試合に出てから最初の2年くらいは、気持ちをコントロールするのが難しかったんだけど、最近は歓迎できるようになったし、楽しんでいる。ストレスもかかるけどね。声援を聞けて今日は楽しかったよ」。2年に1度の米国と欧州の対抗戦「ライダーカップ」のキャプテンズピック(主将推薦)の発表が迫り、「朝起きた時も、コースにいる時もそのことを考えている」と大いに気にかけながらも、心地良いままホールアウトした。
ブラッドリーのキャディバッグをご存じだろうか。名前の下に刺繍してあるのは、どこかで見たことあるような…でもちょっと違うような…というマーク。
これは米国4大プロスポーツリーグにおける、愛する地元チームのマスコットやロゴ、カラーを合わせたものだ。ボストン・レッドソックス(MLB)のロゴの上に、ボストン・セルティクス(NBA)のマスコットが、ボストン・ブルーインズ(NHL)のロゴをボール代わりに右手で回している。ニューイングランド・ペイトリオッツ(NFL)のマークは小さいが、マスコットの上着のボタンのように6つあしらわれている。
2011年の「全米プロゴルフ選手権」を制してからというもの、ブラッドリーは各チームの始球式に登場したりと、地元愛をアピールし続けている。TPCボストンで送られる声援は、その成果のひとつのはずだ。(マサチューセッツ州ノートン/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw