ビル・ハースが誇る“マスターズの華麗なる血脈”

穏やかで性格も良い好青年。米国ツアーでそんな評判を得ているビル・ハースが、ジョージア州オーガスタナショナルGCで開幕した「マスターズ」初日に4アンダーを出して首位に立った。選ばれしプレーヤーのみが立つことを許されるオーガスタだが、ビルにとっては“当たり前”の場所でもある。

ビル本人にとっては5度目の「マスターズ」。だが、父、ジェイ・ハースは過去22度に渡ってグリーンジャケットを目指して戦いを挑んできた。父の最高位は95年の3位タイ。「僕にとっては昨日のことのように思い出される。父は20年も前のことだっていうんだけどね」と、その記憶はビルの脳裏に染みついている。

それだけではない。86年のマスターズチャンピオン、ボブ・ゴールビーは父のおじで、「その時以来、僕たち家族にとってオーガスタは特別な場所になった」と回顧する。さらに、ビルにとって父方のおじのジェリー・ハース、母方のおじのディリャード・プルイットも共に「マスターズ」出場経験があるエリートゴルファー。「数えるほどしか、マスターズに来なかったことはない」と、ビルにとっては実に通い慣れた土地なのだ。

大会初日、1番でボギーを叩くも2番ですぐに取り返し、間に4バーディを挟んだ17番で再びボギーとしたが、最終18番のバーディですぐにそれも帳消しにした。「このツアーではバウンスバックというスタッツなんだけど、傷口をひろげないという意味ですごく重要なスタッツの1つだと思うよ」。

これだけ栄光に満ちた家系を持っていれば、少しくらいのダメージはへっちゃらなのだろうと少し斜めに見てしまうのは、悲しい平民の性ゆえか。（ジョージア州オーガスタ／今岡涼太）