石川遼が語った、出られない「マスターズ」への思い
テキサス州にあるゴルフクラブ・オブ・ヒューストンで開催された「シェル ヒューストンオープン」で、6週連続の大会出場だった石川遼は、通算3アンダーの31位タイで4日間を終了。フェデックスカップポイント38点と、賞金37,952ドル(約390万円)を加算したものの、過去5年連続出場していた「マスターズ」の切符を掴むことはできなかった。
1年前は通算5オーバーで予選落ちしたヒューストン。「苦手意識はある」というコースを4日間でオーバーパーを1ラウンド(2日目「74」)に抑え、通算3アンダーで回りきった。「去年と比べて自分の技術が上がったことを実感できた。毎週毎週の経験が自分の中で確信につながっている」。最終日、“オーガスタ行き”は逃したが、雨に濡れた体からはそれを上回る充実感が溢れていた。
「今週は長いパー4もあってパワーゴルフ的な感じだった。僕はヒルトンヘッド(2週後のRBCヘリテージ開催地=ハーバータウンGL)のように、ボールを置いていくようなマネジメントを求められるコースが好き。昨年は自分に合うコースと合わないコースの差が大きかったけど、今シーズンは良くやれていると思う」。
昨年8月に163位まで下がった世界ランキングも、2014年になって77位(前週終了時)までアップさせた。「マスターズ」をはじめとするメジャー出場に必要な50位も、すぐそこまでに迫ってきている。
6年ぶりにオープンウィークとなってしまった次週、拠点のあるフロリダ州ベイヒルで練習をしながら、「時間があればマスターズも(テレビで)見たい」と言う石川に、余計な力みは感じられない。
「去年、僕は『特別招待』でしたし、ここ数年(出場)カテゴリに入ってのマスターズというのはなかった。来年はしっかり世界ランキングであり、カテゴリをクリア(米ツアー優勝)してオーガスタに立てるように、今からスタートだと思うとすごくすっきりする」。
昨年は“3度目の特別招待”に周囲だけでなく本人も戸惑いを見せていた。今年は石川の歩みを揶揄する者はいない。
小学生の時に誓った「マスターズ優勝」という大目標。それは22歳になった今でも、石川のモチベーションを支えている。「いくら成績が悪くても、調子が悪くても、向上心を持てるのはそこを目指しているから」。これからも暗い航路を照らす灯台のように、時には迷い、不安に襲われることもある石川を導き続けるはずだ。
「今は出場が目標になっているけど、あそこに招待される人は全員優勝するチャンスがあるから選ばれているのだと思う。それをクリアして出られるようになったら、自分にもマスターズに勝てる力がある時だと思う」。
2週間後に再開する戦いへ、すでに気持ちは動いている。「去年はドライバーで低い球を打っていたけど、今年はあまり打たなくなったのでそこを考えているんです。4Wでどこまでカバーできるか…。3Wも打ったけどちょっと飛び過ぎちゃうので、4Wと5Wを上手く使っていけるかなって。来週は多分そんな1週間にもなると思います」。
あまりの屈託のなさに拍子抜けしてしまうほど、今の石川には迷いも憂いも感じられない。(テキサス州ヒューストン/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka