2013年 フライズドットコムオープン

松山英樹、開幕初ラウンドで受けた洗礼

2013/10/11 12:47
「数ミリもない」という世界だが、これも米ツアーの洗礼か。

今季開幕戦の「フライズドットコムオープン」は、松山英樹にとってPGAツアーメンバーとしてのデビュー戦。1番ホールのティショットをフェアウェイに置くと、2打目をピン右2メートルにつけ、早速バーディチャンスを迎えた。

ラインを読み、バーディパットを打とうと球をマークに戻したとき、同組のデービス・ラブ3世がなにやら口を挟んできた。指で数センチの隙間をつくり、松山が球を正しく戻していないと主張する。

「事前に(そういう人だと)聞いていたので、そこまで動揺することはなかった」と松山は言う。「自分の中でごまかしているつもりはないし、(ラブが)マークしているのを見ているわけでもない。それを言われると違和感はありますけど、ちゃんと戻すのは正しいと思う」と、毅然とした態度で受け止めた。

東北福祉大の阿部靖彦監督は「本人はちゃんと元に戻していても、マークを投げたりすることがあるから、絶対言われると思っていた。だから、ちゃんとマークをしなさいと言っている。これもPGAツアーの洗礼」と、勉強の機会であることを強調する。確かに本人が元の位置に戻していても、外から見たときに疑問を抱かれては元も子もない。この日のラブとマイク・ウィア(カナダ)というベテラン勢とのペアリングも暗示的だ。1番ホールで指摘したラブの真意は、松山の将来性を認めているからこその早めの忠告だったと言えるだろう。

ティショットが乱れた松山英樹だが、1アンダーにまとめ上げた

このバーディパットは決められず、続く2番ではグリーン奧に外してボギーが先行。「ティショットが良くなかった」と、この日のフェアウェイキープは50%にとどまったが、終わってみれば4バーディ(3ボギー)の1アンダーにまとめ上げた。

最終18番では、ティショットを大きく右に曲げた松山。コース脇のフェンスからの救済を受けると、今度は飛球線上に仮設テントがあり、再び救済を受けられる状況となる。しかし、「ドロップしたらライが良いところだったし、アングル的にも(前方の)木が邪魔にならなかった」と、そこからPWでテント越しにピンそば3メートルにつけて喝采を浴びた。

「アイアンは悪くない。パットも普通だと思う。あとはティショットがどれだけフェアウェイに行ってくれるか」。PGAツアーでも潜在能力の高さは埋もれていない。それでも、這い上がるのは容易ではない。松山の今季開幕初ラウンドは、一つの教訓と共に幕を開けた。(カリフォルニア州サンマーティン/今岡涼太)

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