2013年 WGCブリヂストンインビテーショナル

タイガー・ウッズが見せたパパの顔

2013/08/05 11:11
後続に大差をつけて逃げ切ったT.ウッズ。通算79勝目をマークした。

少しばかり退屈だった最終日のラストシーンは、心温まるものだった。オハイオ州のファイヤーストーンCCで開催された「WGCブリヂストンインビテーショナル」で2位に7打差をつけ、圧勝で同大会8勝目を飾ったタイガー・ウッズ。最終18番グリーンで大歓声を浴びた後、王者は幼い子供を抱えながらアテスト小屋へと向かった。

4歳になった息子、チャーリー・アクセル・ウッズくん。前妻のエリンさんとの間に生まれた第2子だ。「最近、あの子も僕の仕事を分かってきたんだ。でも彼がいる前で勝ったのは、今回が初めてでね」。長女のサム・アレクシス・ウッズちゃんは、タイガーが最後にメジャーを制した2008年「全米オープン」の際、応援に駆け付けており、いまは当時の映像をユーチューブで見るのがお気に入りだそうだ。

「あの子たちはいつも言うんだよ。『ダディ、いつ勝つの?』って。一度も勝てない時期が、何年か続いたからね」。勝てない時期――それは言わずと知れた、家族に大きな打撃を与えてしまった時間だ。

「ここ最近はね、僕がどのポジションでプレーしているかいつも知りたがるんだ。『パパ、リードしてる?ダメ?』。お決まりの質問だよ。『リードされてるよ』、『わかった。じゃあ、逆転する?』、『頑張るよ』ってやり取りする」。

「今週は良かった。リードして、それを守れたから」。トーナメント中盤からぶっちぎり。周囲が少しばかり冷めてしまうような展開も、タイガーには大きな意味があった。愛する子供たちに、毎日胸を張れた。「彼を抱きかかえた時は、最高の気分だったよ」。最後に見せたのは、ひとりの父親としての顔。通算79勝目も、限りなくスペシャルなものだった。(オハイオ州アクロン/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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