ウェブドットコムツアーの実力とは?
今季からPGAツアー参戦の仕組みが変わり、俄然注目を集めているウェブドットコムツアー。その出身ルーキーがPGAツアーで活躍しているのも、同ツアーが目を引く大きな要因と言えるだろう。すでにラッセル・ヘンリーが「ソニーオープンinハワイ」で優勝を果たし、先週はルーク・ガスリーが優勝争いに絡んでいる。先週の「コロンビア選手権」で優勝したのは、20歳のパトリック・カントレー。今週の「プエルトリコオープン」でも、2日目を終えて通算7アンダーの21位タイにつけている。
日本にもチャレンジツアーという下部ツアーが存在するが、ウェブドットコムツアーとは異なる部分が多い。その一つは開催日数。日本では2日間、3日間という大会ばかりで、ウェブドットコムツアーのように4日間戦う試合は存在しない。ゆえにどんな成績を収めても世界ランキングには反映されない。もちろん、賞金総額も5~10倍の違いがある。
今年、PGAツアーのシード権を持たない今田竜二にとっては、次年度のシード権を確保するために大きく2つの道がある。1つは推薦やマンデーなどからPGAツアーに出場し、優勝もしくは十分な賞金を稼いでシードを確保する方法。もう一つはウェブドットコムツアーの賞金上位25位以内、もしくはツアーファイナルに出場して上位に入り、PGAツアーのシードを確保するという道だ。
今田は言う。「基本的にはPGAツアーに出ることを優先して、出られない場合はウェブドットコムに出ます。PGAツアーは(優勝や上位フィニッシュ)1回で決められるじゃないですか。でもウェブドットコムツアーは1回じゃ決められないですよね」。裏を返せば、それだけウェブドットコムツアーの道は険しいということだ。
石川遼も同じような印象を口にする。「ウェブドットコム出身選手はすぐ活躍するイメージがありますね。今、日本ツアーの選手がウェブドットコムツアーに行っても、必ずしも上位にいけるとは思わない。それくらいレベルは高いと思います」。
その代わり、日本ツアーの選手は日本の試合で世界ランクを上げて、メジャー大会やWGCに出ることができる。「(日本選手は)一番初めからものすごく大きな舞台を経験できるのは大きいと思う。アメリカでは世界ランキングを上げるのも大変だし、そういう意味では(日本選手は)恵まれていると思います」と石川。
確かに日本選手は日本ツアーがあることで、“恵まれている”という側面がある。だが一方で、同じ舞台に立ったときにどれだけ揉まれてきたかという経験の差が出ることも否定できない。ウェブドットコムツアー出身のルーキーが活躍するたびに、強力な下部ツアーを持つPGAツアーの底力がひしひしと感じられる。(プエルトリコ・リオグランデ/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka