2013年 ファーマーズ・インシュランスオープン

PGA Tour Rookie / Ryo Ishikawa(4) 東西2つの拠点と、その意味

2013/01/28 08:58
アジア、欧州へもアクセスが良好な東西2つの拠点。石川遼はその“マイホーム”を有効活用する。

米国男子ツアー(PGATOUR)のメンバーとなった石川遼は、その本格参戦を迎えるにあたり、本土に2つの拠点を構えた。東海岸と西海岸にひとつずつ。場所はフロリダ州オーランドのベイヒルクラブ、そしてカリフォルニア州はロサンゼルスからは南東へ約120キロに位置するカールスバッドである。

広大な大陸を毎週移動し、連戦に臨むツアー。ほとんどの外国人選手が、各地に一軒家を購入し、拠点とする。ロリー・マキロイをはじめとした欧州の選手は、母国にも近い東海岸で、年間を通じて温暖なフロリダ州を選ぶケースが多数。また、カリフォルニアやアリゾナ州のほか、アクセスの良いテキサス州ダラスなどはチェ・キョンジュら韓国人選手にも人気。石川同様、今年ツアーメンバーとなったベルギー出身のニコラス・コルサートが「ここ10年はスーツケースと一緒に人生を歩んできた」というのは、珍しいパターンだ。

米ツアーは例年、1月にハワイで開幕し、ウェストコーストスイングと呼ばれる西海岸の各地で本土開催に移る(来季からは10月開幕に変更)。その後はフロリダ州を中心に東海岸へ移動・・・といった具合に、国土が広いだけあって、一定期間中は、ある程度トーナメント開催地が近い地区にまとまっており(とはいえ、到底ひとつの宿泊地から何会場にも通えるほどではないが)、石川の東西2つの拠点はその点でも効果的。いずれも近隣に広大な練習場があり、カールスバッドの場合は契約するキャロウェイのテストセンター内に位置。クラブ調整にも万全の態勢を整えられる。大量の荷物をその都度運び出す手間も少なくはなりそうだ。

石川はサンディエゴ近郊で行われた「ファーマーズ・インシュランスオープン」で予選落ちを喫した翌日、この西海岸の拠点に移動して静養につとめた。当初の予定では次週「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」終了後、3連戦を戦い終えたあとに当地に入るつもりではいたのだが・・・。

とはいえ、石川の米国での“マイホーム暮らし”は少しばかり、日本でのそれとは違った利点もありそうだ。「ファーマーズ―」で初日20位タイと上々の滑り出しを見せた石川に、米メディアの視線は集まった。そしてラウンド後のインタービューでは、カールスバットの家について問われ、英語でこう答えている。

「こっちでは街中を歩いたり、買い物にも行きやすくなるんじゃないかと思っています。日本ではそれがちょっと難しかったから・・・」。

周囲の視線を気にすることなく、気兼ねなく外出する。馴染みの店を作り、ビーチを散歩するのもいいかもしれない。単なる心身のリフレッシュのためではなく、21歳の当たり前の生活を手に入れる絶好の機会。安息の地となりうるはずだ。

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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