宮里藍は再び勝てるか? 難度増すコースセッティングとの戦い
米女子ツアーで10年目のシーズンを戦っている宮里藍は、最近のコースセッティングの変化について、次のように語っている。
「特にこの2年くらい、セッティングは確実に長くなっている。ピンポジションも毎年厳しくなってきている。すごく男子(ツアー)と似てきたなと思う」
距離が伸び、ピンポジションが厳しくなってきたときの対応は、大きく2パターンに分かれるだろう。一つは、より飛距離を伸ばそうとする。もう一つは、よりショートゲームを磨こうとする。宮里は迷いなく後者を選んだ。
「ロングヒッターが2打目を8Iで打てるところを、こっちは5UTとか4UTで打っていかないといけない。今までは攻められるピンポジションだったけど、スピンが効かないと攻められない(狭い)ところに切られると、2段グリーンの下(からのパッティング)になったりする」
だから、自身の戦いの中でショートゲームの比重が増してきている、と宮里は言う。
「最近は確かに飛ばし屋が上位にいる傾向があるけど、たまたま自分の調子が合っていないだけだと思っている」と軽やかに笑う。「究極を言えば、(自分の)飛距離が伸びても伸びなくても関係なくて、自分がしっかり自分自身と向き合ってできていれば優勝できるという感覚でいる」。
問題は、いつその段階にたどり着けるかだ。「今は自分の中でパッティングが100%でない分、攻めきれないと感じている部分がある。ロングパットが残ると、今までだったら1パット(で入れる)という気持ちが、しっかり寄せて(2パット)という感じ。調子が上がってくれば、違う見方もできると思うけど」と語る通り、まだ道の半ば。
他選手と比較するのではなく、コースや自分自身ときっちりと向き合う――。何ができて、何ができていないのかを自分の中で見極められれば「必然的に上にいける」というのが、彼女を支える信念だ。(タイ・チョンブリ/今岡涼太)
チャレンジングでフェアを心がける
「ホンダLPGAタイランド」が開催された先週、LPGAでコースセッティングを担当するスー・ウィッターズ副会長(ルール&競技部門)に話を聞いた。
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たしかに、ここ数年で距離は長くなってきている。
数年前に選手代表(Player Director)から「もっとバリエーションが欲しい」「14本のクラブ全部を使いたい」「毎回、同じところから打ちたくない」という要望があった。そのリクエストに応えるべく努力をした。
“チャレンジングだけど、フェアである”という原則を心がけ、コースセッティングをしている。簡単、普通、難しいといったセッティングをミックスして、特定の選手が有利にならないようにバランスを考慮する。それは1日だけにとどまらず、年間を通じたポリシーでもある。
短いコースだと、ロングヒッターは自分のアドバンテージがなくなるという。長いコースだと飛距離の短い選手は難しすぎるという。でも、私たちはマジョリティ(多数)のことを考えてセッティングしているし、1年を通してバランスが取れていると思う。(聞き手・今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka