2014年 全米女子オープン

全米女子オープンに登場の11歳 素顔の爆笑会見

2014/06/18 12:54
11歳のアマチュア、ルーシー・リー。開幕2日前はレクシー・トンプソンらと練習した

ヘアゴムでカラフルに彩ったツインテールの黒髪に、思わず目のいく派手なウエア。矯正中の白い歯の向こうから、時折飛び出る素っ頓狂な笑い声とその言葉に、こちらも思わず吹き出してしまう。「全米女子オープン」開幕2日前、興がる目で公式会見に集まった人々の誰もが、含み笑いでその場を出て行った。

11歳のルーシー・リーは、4月の「マスターズ」前週にオーガスタナショナルGCで開催されるジュニアイベント「ドライブ・チップ・アンド・パット(10~11歳の部)」で優勝した少女。先月、今大会の出場権を争う予選会を史上最年少で通過。2007年のレクシー・トンプソンの12歳の記録を更新し、メジャーの舞台に立った(なお、史上最年少出場は1967年ベバリー・クラスの10歳7か月21日)。

「2カ月のうちにパインハーストとオーガスタに来れるなんて、本当に最高!」

4年前にマイアミで本格的にゴルフをはじめ、名コーチのジム・マクリーンの指導を受けて育った。あどけない表情と身長およそ150センチの細身の体からは、才能はうかがい知れない。学校で好きな科目は数学と科学と歴史(算数と理科と社会か?)だとか。天才少女として名を馳せたミッシェル・ウィも「ホントにかわいらしい。私は11歳の時、もうあんなにかわいらしくなかったわ」と笑うしかなかった。

前週にパインハーストに入り、同コースで開催された「全米オープン」の最中も会場を散策した。テンションが最も上がったのは木曜日にウェブ・シンプソンに会った時。「大好きな選手なの。私のお気に入り、サンフランシスコのオリンピッククラブでの全米オープン(2012年)で勝ったから」、「アニカ(ソレンスタム)、カリー・ウェブに会えた時が嬉しかった。それに、ええと、名前何だっけ…?あ、アンナ・ノルドクビスト!今日、練習場で会ったの」。無邪気につなぐ素直な言葉の数々。その間は小さな子供みたいに、会見場の椅子をクルクルと左右に回していた。

「ドライバーショットは、230ヤードくらい」という。「試合の時はアドレナリンでもっと飛ぶわ。5アイアンは170ヤード」。大人顔負けの飛距離だが、なにせ口が達者で…。

「パパは金融マン。ストックブローカーだか、トレーダーだか…。そういうのが上手なのよ、ホントに」。キミはほんとに11歳か?大人びた家族紹介に場内は大爆笑。たぶんパパよりずっと年上の、コワーい顔したオジサンたちが大勢いる前でも、ちっとも物怖じする様子が無い。今週、緊張したり、怖いな…と思うことは何かある?「全然ありません。イヒヒヒ!(笑)」。

大手コンピュータ関連企業に勤めていたママは昔、卓球選手だった。それ以外にも、小さい頃からダンスが好きで、テニスも水泳もダイビングもバトミントンもやった。でも、一番好きなのがゴルフだった。

「だって、他のスポーツとは違うから。背が高かろうが小さかろうが、動きが速かろうが遅かろうが、誰でもプレーできるでしょう?」

そう、だからキミはここにいるし、この世界最高の舞台で輝けないとは、誰も言えないんだ。(ノースカロライナ州パインハースト/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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