歴史的偉業に挑む朴、評価は正当にされている?
欧米ゴルフライターの記事中に、今週朴仁妃が成し遂げようとしている偉業が、きちんとした評価をされていない、という論調の記事があった。朴の共同会見があった火曜日の午後、朴の前には半分以上の空席があり、たしかに韓国メディアはいつもよりも多かったが、英国メディアとゴルフライターたちの数は、特別なことが起きつつあるという興奮とは無縁だった。
朴が今週勝ったとしたら、それをグランドスラムと呼ぶかどうかという議論は存在する。だが、過去同一年にプロのメジャー大会を4勝した選手は男女を通じて存在しない。韓国メディアに、「もし朴仁妃が今週優勝したら、それは朴セリが初めて全米オープンを制したことよりもビッグニュースか?」と聞くと、「そう思う」。続けて、「韓国では、本当に多くの人が注目している」と付け加えた。
LPGAツアーが、欧米では男子ツアーに比べて極端に注目が低いことも関係しているだろう。逆に韓国国内では、男子に比べて女子ツアーの方が人気は高い。ゴルフ中継をするテレビ局は2つ存在し、毎週LPGAツアーが放映されている。「野球、サッカー、女子ゴルフ」が韓国での人気スポーツの順番だという。
宮里藍は言う。「ヤニが(メジャーを年)2回勝ったときにすごいと思ったけど、4回目のチャンスというのは尋常じゃない。それに何より、今まで何十年もやってこられなかったことを“さらり”とやってのけているのがすごい。メンタルが強いなと思いますね」。
ステーシー・ルイスは言う。「彼女はコース上ではとても静か。でも、彼女と婚約者が一緒に旅行をしているとき、空港ではいつも手を繋いでいるし、とてもキュート。彼女はとても幸せな私生活を送っていると思う。コース外でものごとが上手くいっていると、プレーはより楽になるものね」。
朴本人がどれほどのプレッシャーを感じているかは、想像することも難しい。「最初はプレッシャーを感じていたけど、何度も何度もセントアンドリュースのことを尋ねられて、慣れてきました。いったんコースに出れば、あまりそのことは考えないです。コースを離れたらプレッシャーを感じるけど、ゴルフ場ではプレーに集中しようとしています」。
リンクスコースを攻略する上で、朴のゴルフは魅力的だ。「私は低い球を打つことが得意。それにグリーンが大きいから、30ヤードとか20ヤードのパットをすることになる。沢山のパットを打つことになると思うから、それはアドバンテージになりますね」。
コース外の雑音も、ロープの中までは聞こえてこない。「だって、ゴルフをすることは私にとっては一番簡単なこと。一番慣れていることだし、だからいつでも一番楽なことなの」。宮里のいうように、今週もさらりと歴史的偉業を成し遂げてしまうのだろうか?(英国セントアンドリュース/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka