決戦前にP.クリーマーが振袖姿を披露
24日(木)にシンガポールのタナ・メラCCで開幕する米国女子ツアーの第2戦「HSBC女子チャンピオンズ」。大会2日前の22日には市街のホテルで公式会見が行われ、大会連覇を狙う宮里藍をはじめ、前週の「ホンダLPGAタイランド」で優勝したヤニ・ツェン(台湾)、そして申智愛(韓国)とポーラ・クリーマー、ミッシェル・ウィが出席した。
LPGAが誇るタレント選手たちが大会への意気込みを語った会見の最高のハイライトは最後の“ファッションショー”。ポーラ・クリーマーが赤い振袖をまとって登場し、ミッシェル・ウィは朝鮮半島の民族衣装チマチョゴリに身を包んだ。
大きな拍手に包まれたクリーマーは「フリソデを着てドライバーは振れないわね。でも本当に素晴らしいし、エレガント!日本人が2000年近く着ているキモノを着るのは、アメリカ人として(日本の)歴史の一部を着ているように感じます。本当に素晴らしい経験だわ」と、その笑顔は幾重ものフラッシュの中でひときわ輝く。
米国に本部を置くLPGAだが、その実態は近年実に国際色豊か。特に韓国、日本をはじめとするアジア勢が活躍する機会が多くなり、昨年の賞金女王は韓国のチェ・ナヨン、現在の世界ランク1位は台湾のヤニ・ツェンだ。
韓国系アメリカ人のウィは言う。「LPGAの強みの一つは、いかに国際的であるかということだけれど、ひとたびゴルフウェアを着れば、私たちは同じように見えてしまう。こういうこと(催し)が、私たちがいかに違うバックグラウンドを持っていることを人々に気づかせてくれればいいし、私たちそれぞれの文化に興味を持ってほしいと思う」。
両選手の艶やかな姿をただの“見せ物”にとどめておくのは実に惜しい。決戦直前に設けられたひと時の和やかムードの中で、LPGAの、プレーヤー個々の「来る者拒まず」の姿勢には“世界NO1女子ツアー”としての器の大きさを感じた。
確かにアジアで行われる大会の商業的なPRに過ぎないという見方もある。しかしクリーマーの着付けを手伝った宮里藍は「綺麗でしたね。私は外国人の方が着物などを着た時のギャップが好き」と話すと「ツアーがグローバル化しているひとつの方向性だと思う」と続けた。その表情が、どこか誇らしげに見えた。(編集部・桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw