桜植えられぬ地で 春に大輪の“ひまわり”を咲かせるか
◇国内女子◇アクサレディス in MIYAZAKI 2日目(24日)◇UMKCC(宮崎県)◇6505yd(パー72)
2日目を終えて6位タイにつけたツアールーキーの19歳、小倉ひまわりに聞いた名前の由来は「両親がひまわりを嫌いな人はいないだろうって。バラはお高い感じがするけど、(ひまわりは)庶民的だし、誰でも手の届くような人になるように」。
小倉にとって「一度覚えてもらったら忘れられない」この名前は大のお気に入り。1Wの大きなヘッドカバーも、ハワイで即購入したキャップにつけるボールマーカーも、色鮮やかなひまわりをデザインしたものだ。
幼少のころから活発で、小学校1年から約2年間、名前と同じ芸能事務所の「劇団ひまわり」に所属した。「ディズニーのCMにかなり端役で出たことがある。それくらいでしたけどね」と苦笑いで思い返す。母の影響で始めた和太鼓にのめり込む時期もあったが、上田桃子との出会いでゴルフの道に進むことを決めた。
9歳のときに茨城県で開催された女子ゴルフツアーを観戦に訪れ、「こんなかっこいい選手がいるんだ」と一目惚れ。ゴルフは未経験だったが、「桃子さんのようになるために、すぐにゴルフをしなきゃ」と、父の手ほどきを受けながらキャリアをスタートさせた。以降も和太鼓は続けていたが、「手にマメができるからやめよう」と、いつしかクラブだけを握る手に変わった。
そのあとも、上田を目当てに「小学生のときに10試合以上は見に行った」という。一番の思い出は「スタジオアリス女子オープン」のジュニア大会で優勝したとき。「誰でも好きな選手に一つだけ質問ができる特典をもらって、桃子さんに質問した。そのあとクラブハウスで桃子さんと一緒になって『こっちにおいでよ』って言われて、いろいろ話してもらったこと」。そのときにもらったサイン入りの2ショット写真は、今でも大切な宝物だ。
2日目はプロになって初めて上田と同組でプレーした。「本当に緊張したけど、めっちゃうれしかった」。スコアは3バーディ、1ボギーの「70」。上位をキープし、憧れの先輩にしっかりと成長の跡を見せることができた。
舞台のUMKCCは26年前の開場時、「マスターズ」を開催するオーガスタナショナルGCにならい、ホールごとに花の名前が付けられていた。「さくら」や「うめ」や「もも」。しかし、地盤の問題で木の根付きが悪く、ティグラウンドの周りなどに多くの木を植えられなかった。支配人によれば「場所によっては大丈夫。だけど植えても台風などですぐに飛んでしまう」。だからコースを彩る花々は、決して多いといえない。
首位と3打差で最終日を迎えた小倉は「(名前の由来通り)そんな人になれているかな?」とおどけ気味に言う。最終18番のグリーン脇には、細い桜の木が2本だけ。春の気配が漂いはじめた当地で鮮やかなピンク色の花びらが舞うことはないが、季節外れの朗らかな“ひまわり”が色めく可能性は十分にある。(宮崎県宮崎市/林洋平)