2017年 日本女子オープン

仮想・世界のライバル? 畑岡奈紗がみせた“異次元”ゴルフ

2017/10/01 19:49
記録ずくめの大会連覇を果たした畑岡奈紗

◇国内女子メジャー第3戦◇日本女子オープンゴルフ選手権競技 最終日(1日)◇我孫子ゴルフ倶楽部(千葉県)◇6706yd(パー72)

我々はいったいなにを目撃したのだろうか。畑岡奈紗がメジャー大会の最多アンダーパー記録を6打更新する通算20アンダーで、40年ぶりの大会連覇と、2週連続優勝を成し遂げた。2位には大会史上2番目に大きい8打差をつける、まさに異次元のゴルフだった。

最終18番を2パットのパーで締めくくった畑岡は、両手を挙げてガッツポーズ。すぐに笑顔が広がった。涙もなければ、疲労の色も感じさせない。小俣裕次朗キャディは「競っていたらどうなるか分からないけど、まったく・・・(変わらなかった)」と、なかば呆れたように首を振った。ナショナルオープンの最終日最終組での優勝争いという状況も、畑岡のプレーにはなんの影響も与えなかった。

開幕前、畑岡は優勝スコアを15アンダーと想定していたが、途中から20アンダーに引き上げた。「それより上を見ている選手がいたので、それに負けていられないなと」。今年の「全米女子オープン」でアマチュアながら2位に入った1学年下のチェ・ヘジン(韓国)が語った“20アンダー”という目標スコアに、畑岡は敏感に反応した。

継続的に続けている下半身を中心としたトレーニングは、大会期間中も月・火・金・土とそれぞれ30分から1時間をかけて行った。畑岡の指導を続ける日本ゴルフ協会(JGA)ナショナル強化委員会のフィジカルコーチ・栖原弘和氏は、「われわれは2020年、2024年という長期目標を立ててやっている。そのためにいまはこの段階だから、このトレーニングをするという具合。本人から希望してトレーニングを行っている」という。目の前の試合で結果を出すことが目的ではなく、どの大会もいまは1つの通過点に過ぎないのだ。

12番では難しいライのバンカーからもきっちり寄せてパーセーブ

ルーキーとして参戦した今年の米国女子ツアーでは、賞金シード獲得に至らなかった。「準備がうまく整わないのに行ってしまった」ことを反省する。だが、「いまは9割」という意志で、年末にふたたびQTを受験して、米ツアー再挑戦を見据えている。

夢みるのは、オリンピックの金メダルと、海外メジャー制覇。「米ツアーにはいろんな国籍の選手がいて、活躍しているのも同じような年代の選手たち。オリンピックのことを考えても、そういう選手たちと競り合えるようなプレーヤーになりたいから」と、米ツアー挑戦の理由を説明する。

ローアマチュアを獲得した高校2年の小倉彩愛は、表彰式で畑岡に「おめでとう」と声をかけられると、「1人だけ突っ走っていましたね。異次元でしたね!」と応じたという。畑岡は「そんなことないよー」と照れ笑いを浮かべたが、その言葉はただの謙遜でもなさそうだ。その頭の中には、常に世界のライバル達がひしめきあっているのだろう。(千葉県我孫子市/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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