メジャーだからこそ際立つベテランの味
国内女子ツアーメジャー初戦「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」3日目を終えて、首位に森田理香子、2位タイにリュー・ソヨン、佐伯三貴、茂木宏美ら、日韓を代表する若手のホープ、実績豊富な中堅たちが上位に。順位表を見た佐伯も「このメジャーセッティングで上にいる名前は想像通り」と評する面々が、優勝争いにその名を連ねている。
その中にあって、45歳のベテランが元気だ。首位に5打差ながら8位タイと、斉藤裕子がトップ10に留まって最終日を迎える。
季節外れの冷たい雨に祟られた3日目も、3バーディ、2ボギーと安定した内容。「特別に良かったものは何もないんですけどね・・・」。そんな言葉からは、どこか余裕すら伝わってくるようだ。聞けば斉藤、スポンサーが開催コースである茨城GCのメンバーとあり、かねてから同コースとの縁が深いとのこと。「ここは15年前ぐらいから回らせてもらっていますね。試合に出られない時期があった時は、ほぼ入り浸り(笑)。いつもお邪魔しています」。
定期的に年6回ほどはラウンドしており、もはや慣れ親しんだコースの1つとなっている。「(ボールが)いっても大丈夫なところは分かっているので、安心感はあります。あそこに落ちたら、どっちにキックするとかも分かりますし。そんなに焦らずにはできています」。なるほど、先述した余裕の漂いに合点がいった。
そんな攻略ルートを知るコースだからこそ、同伴者のプレーにも多感になる。「今の若い子たちは、本当に飛ぶ。20ヤード、30ヤードは置いていかれる」。しかし終わってみれば、スコアに飛距離に現れるほどの差は出ない。「みんな、あんなに飛ぶのに・・・。いろいろと感じることはありますね」。斉藤は続ける。「私にはそんなに技もないから、当たり前のことを当たり前にするだけ。難しいことはしない。派手さはないけどね」。
メジャーセッティングに“魅せる”プレーはいらない。「いかに自分を信じられるか。その感じでできればいいですね」。今週の最年長出場者が、“見せる”プレーで上位をおびやしている。(茨城県つくばみらい市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。