申智愛 強さと笑顔、そして温かさと共にツアー復帰
今年5月の米国女子ツアー「サイベース・マッチプレー選手権」を最後に、長く戦列から離れていた申智愛。左手首の疲労骨折により骨が剥離し、アメリカで除去手術をおこなったのが5月24日。その後はリハビリを続け、クラブを握ることができない日々が続いていた。
ようやくの復帰戦となったのが、今週開催の国内女子ツアー「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント」。その初日、5バーディ、2ボギーの「69」をマークし、3アンダーの9位タイでフィニッシュ。これまでと変わらぬ正確なショットとパット、そしていつも通りのにこやかな笑顔が、ようやくフィールドに戻ってきた。
患部はちょうどグリップが当たる位置で、今も生々しい手術の傷跡が残っている。驚くべきは、術後からクラブを初めて握ったのが、今週大会初日の10日前だという。クラブを握らなかった期間は、実に6週間。「これだけクラブを握らなかったのは初めて。久しぶりに練習したときは、ボールが当たるか心配でした」と、不安と期待が入り混じる中で迎えた復帰戦。ともかく、18ホールを無事完走できたことに安堵の表情を浮かべていた。
「早く(ツアーに)戻ってプレーしたいと思っていた。リハビリにくじけそうになっても、その気持ちで頑張ることができました」。待ちに待った復帰戦初日に待っていたのは、9位タイという好スタートと、久々に浴びるたくさんのギャラリーの大歓声。今週の目標を問われ、申は笑顔で、こう答えてくれた。「まずは予選突破。そして、日本の皆さんに良いプレーをお見せしたいです」。こちらも離脱前と同じ、ファンを常に想う申らしい、温かい言葉が返ってきた。(茨城県稲敷郡/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。