女子トーナメントも3日間から4日間へ?
今季の国内女子ツアー最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は、全美貞の優勝で幕を閉じた。これで今季の優勝は日本選手19回、韓国選手8回、中国選手3回。全30試合のうち日本選手の勝率は63%と、昨年の50%を大きく上回る結果となった。
小林浩美会長はこう振り返る。「今年は震災があって、選手の試合に対する気持ちが変わりました。試合のある有り難さ、普通にゴルフができる有り難みがみんなの中にあって、自分のゴルフ、プラス使命感を持ってそれぞれが頑張ったと思います」。確かに、われわれ日本人にはいつもと違う特別のモチベーションがあった。それは“なでしこジャパン”の快挙にも現れているだろう。
来季の賞金シード選手の平均年齢は、27.0歳(26.98歳)と、今年より0.2歳若返って史上最年少を記録した。この傾向は今しばらく続きそうだ。さらに、これからも海外からの選手流入は加速するだろう。まだ来年のスケジュールは日米共に発表されていないが、年間30試合以上を有する日本ツアーは世界でも屈指の恵まれた環境と言えるからだ。
日本選手にしてみれば、わざわざ海外に出る意味が問われる時代。世界で戦うという意志をもって米ツアー挑戦を続ける宮里藍、宮里美香は少数派で、多くの日本選手は日本をベースにするメリットを感じている。それはそうだろう。移動が楽で食事もおいしい、試合が多くて賞金も高ければ、ギャラリーが入りスポンサーもつきやすい。マイナス面を挙げるとすれば、海外のトップ選手が少ないこと、コース(環境)の変化が乏しいこと、3日間競技が多いことなどであろうか。
小林会長は言う。「世界ランキングが導入されて、世界の競争に晒(さら)されている今、練習環境や試合環境をもっと整えていく必要があります。4日間戦わないと培われない技術、体力、精神力がある。世界と伍(ご)してやっていくには、われわれ協会がやるべき努力の余地はまだまだあります」。
4日間競技を増やしていくには、スポンサーやコース、場合によっては選手やメディアの協力も必要となってくる。以前、藤田寛之プロはこんなことを言っていた。「選手はコースに適応してうまくなる。毎週米ツアーのようなコースでやれたら、日本選手だって向こうの選手に負けないくらいうまくなりますよ」。日本には“惜しいコース”はあるけど、まだ本物のコースはないという。
2人の求めることはきっと同じだ。国内で世界に通用する環境を作るということ。ゴルフという競技の持つ多様性、自然との闘い、奥の深さが体現した環境。練習に打ち込む選手だけではない。皆さんのようにゴルフを愛する人々が、世界を見て、世界に負けない環境を整えることに多少なりとも力を割いてくれるならば、5年後のオリンピックで日本ゴルフが金メダルを獲るような快挙も夢ではなくなるはずだ。(宮崎県宮崎市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka