“若いゴルフ”は「できないし必要と思わない」 上田桃子が自分を重ねた優勝争い
◇国内女子メジャー◇日本女子オープンゴルフ選手権 最終日(1日)◇芦原GC海コース(福井)◇6528yd(パー72)◇雨のち晴れ(観衆9127人)
優勝した原英莉花に続く2位で終えたのは、56試合目のメジャー出場となった35歳の菊地絵理香。「日本女子オープン」では3度目の2位になる。1度目は2013年。最終日の終盤に一時は首位に立ちながら、16番と17番を3パットの連続ボギーとして宮里美香に1打及ばず。2度目の15年は三つ巴のプレーオフまで進んだが、チョン・インジ(韓国)に敗れメジャー初優勝を逃した。
「メジャーはたくさん経験して勝つものと、勝手に思っていた」と菊地。経験を積むほどに近づくと思っていたタイトルは、最近ちょっと遠くなった気がする。「難しさは、出れば出るほど増してくる」という菊地の言葉に、メジャー初タイトルが遠い上田桃子も同じことを感じていた。
2歳上の上田にとっても、同じく56試合目のメジャー出場だった。シーズンの中でも特に重きを置くナショナルオープンを通算6アンダーの8位で終了。上田はメジャーに「難しさ」を感じる理由のひとつに、気持ちの折り合いのつけ方を挙げた。
「年齢が重なるほど、欲しいという気持ちが増す」と話す、出場回数と比例して増していく勝利への欲。冷静さを保とうとする気持ちと、バランスをとることが年々難しくなってきたという。
加えて、経験値と知識が増えればアグレッシブなプレーにもブレーキがかかる。「まずフェアウェイに、まずしっかりいい所から。そういうのが多少邪魔するときもある」。下の世代がバンカーを怖がらず、果敢にドライバーを振っていく姿は、いまの自分にはないものだった。
だからといって、“若いゴルフ”を取り戻そうとは思っていない。「できないですし、必要とも思わない。マネジメントに徹しながらでも勝てるゴルフはあると思う」と、経験を積んだからこそできるゴルフがある。原と優勝を争う菊地に、自身の姿を重ねて「勝ってほしい」と見守った。
今年のメジャーは残すところ1試合。今季優勝者らに出場が限られた11月「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」が最後になる。「まずは出られるように。準備はいつも、しっかりしているつもり」と上田。これまでメジャー初優勝までの出場試合数が最も多かったのは、2001年に42試合目で「日本女子オープン」を制した島袋美幸。記録更新は、ひとまず次回に持ち越しだ。(福井県あわら市/谷口愛純)
■ 谷口愛純(たにぐちあずみ) プロフィール
1992年生まれ。社会部記者、雑誌の営業その他諸々を経てGDOに入社。ゴルフは下手すぎて2017年に諦める。趣味は御朱印集めと髪色を変えること、頭皮を想って最近は控えてます。