「もっと海外で活躍できる選手を」 樋口久子氏が女子ゴルフ界に期待すること
今季の国内女子ツアーも、最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を残すのみ。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の顧問を務める樋口久子氏は23日、埼玉県新座市内でのトークショーに出席し、この1年を「10代の子が2連勝したり、11年ぶりの復活優勝もあったり、いろいろ話題が豊富だった」と振り返る。
3月の開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」でツアー初優勝を挙げた西郷真央が開幕からの5戦で3勝を挙げて圧倒的な強さを見せると、5月の「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」では、西郷と同年代の山下美夢有が初日から首位を守る完全優勝で国内メジャー初Vをあげた。
8月にはルーキー岩井千怜が史上3人目となる初優勝からの2週連続Vを果たし、9月には2021年11月のプロテストに合格したばかりの2人の10代、川崎春花と尾関彩美悠が続けて初勝利をつかんだ。
10、20代の若手の勢いが増す一方で、10月「樋口久子 三菱電機レディス」では33歳の金田久美子が、そして前週「大王製紙エリエールレディス」は36歳だった藤田さいきが、ともに11年ぶりの復活Vを挙げるなど、若手とベテラン、両方の活躍が目立った後半戦だった。
樋口氏は「今は(ゴルフを)始める年齢が若いから19歳でも20歳でも優勝できる選手が出てくるようになったし、(その中でベテランも)努力している人の結果が出て良かった」と話す。
「『あきらめなければできる』と金田さんも言っていた。若い子も活躍している中だからシードを落としたら大変だけど、そういった中で頑張れるのはやっぱり努力しているから」と復活Vを遂げた2人を改めて称賛した。
一方で、1977年「全米女子プロゴルフ選手権」でアジア人初のメジャー制覇を果たすなど、日本女子プロの海外進出の先駆けとなった樋口氏だからこそ、今の女子ゴルフ界に対して「海外で活躍できる選手がもっと増えてほしい」とさらなる期待も寄せる。
「昔も『海外に選手が行ってしまう。日本ツアーはどうするんだ』と心配する人はたくさんいた。でも、居なくなればなったで、必ず他に活躍するスターが出てくる。アメリカは強い人もいっぱいいるし、勉強になるので行くことはすごく良いこと」と言い、こう続ける。「でも、行くからにはやっぱり活躍してほしい。ただ行くだけだったら行かないで、日本でやってる方がいい」
今季、米ツアー初優勝を果たした古江彩佳が10月「富士通レディース」で大会連覇を成し遂げ、同じく米ツアーを主戦場とする渋野日向子と畑岡奈紗も出場した同月「樋口久子 三菱電機―」では、3日間大会として今季最多のギャラリー数1万9235人を記録するなど、日本のゴルフファンを沸かせた。
樋口氏は、日本人選手が海外ツアーで活躍し、そして成長した姿を日本のファンに見てもらうことも大切だと強調する。「そうしないと忘れられちゃいますから」と話した。(編集部・内山孝志朗)
■ 内山孝志朗(うちやまこうしろう) プロフィール
1995年、東京都生まれ。2018年に新卒でGDOに入社し、CS、ゴルフ場予約事業、練習場事業を経て編集部へ。学生時代は某男子プロゴルファーの試合を見るためだけに海外に行き、観光せずにゴルフ場とホテル間をひたすら往復していた。訪れた町を散策することが出張時の楽しみ。