ついに賞金トップの上田桃子/勝ち方も大切、負け方も大切
プレーオフの末、有村智恵、横峯さくらを振り切って自身3勝目を達成した上田桃子。クラブハウスに戻ってきた上田を待っていたのは、3週前のプロミスレディスで上田を破って優勝を果たした藤田幸希だった。「良くやったね~。おめでとう!」藤田の祝福に、上田は思わず涙をこぼした。
あの時もプレーオフで決着がついた。だが、その後のグリーン上での態度について、上田のブログには、「生意気だ」「礼儀がなってない」といった批判的なコメントが書き込まれた。あの時は、悔しさのあまり勝者に敬意を払う余裕がなかった。「1勝、2勝とするたびに、嬉しい事と悲しい事が同じくらいあって…。正直、この大会の前までは辛い事の方が沢山ありました」。今週に入ってからも嘔吐や胃痛が続いていたという。それでも、上田は自分自身を冷静に分析する。「少しずつ人に見られているっていう意識が出てきたけど、自分の成長とか行動が、まだそれについてきていない」。
第2ラウンド終了後は「明日があってほしい」というコメントを残し、この日はプレーオフの実施が決定すると、雨の中を真っ先に練習場へと向かった。「プレーオフでリベンジしたいと思っていた」。このチャンスを逃すものかという気迫は誰よりも溢れていた。その気持ちは裏切られず今大会の優勝で賞金ランキングでも全美貞を抜いて自身初のトップに立った。勝ち方は熟知している。
今年の全米女子オープンで悲願のメジャータイトルを目前にして2位に終わったロレーナ・オチョアはこう言った。「私は精一杯努力をしたし、自分にチャンスを与える事も出来た。それにゴルフは人生の一部。コースを離れれば大好きな家族と一緒に過ごせるし、泣く理由なんて何もないわ」。上田が目指す世界一の選手は負け方も一流だ。(編集部:今岡涼太)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。