「ずっと勝てないのでは…」有村智恵の苦悩
2006年度のプロテストで2位に7打差をつけ、圧倒的な強さでトップ合格を果たした有村智恵。自分自身に対する期待も高かったのだろう、当時は「早い時期に優勝できると思っていた」という。しかし、後からプロとなった佐伯三貴や三塚優子らに先を越される現実に、「自分はずっと優勝できないのではないか。何が足りないんだろう、何が駄目なんだろう」と、自分を問い詰める時期が続いていたと振り返った。
周囲の高い期待もあったのだろう。なかなか勝利を手にできない焦りもあったのだろう。オフに「今季の目標は年間3勝」と高い目標を掲げたものの、「自信を失うことばかりで、言い過ぎちゃったかな、と思いました」と悪いイメージばかりが膨らんだ。そして、ようやく掴んだ初勝利。東北高校の同期で親交の深い原江里菜や、三塚と抱き合った瞬間、「自分は絶対に泣かないと思っていたんですが…ダメでしたね」。人目もはばからずに号泣した。
今週は、試合が終わった後も遅くまでコースに残り、練習を続けた。毎日夕食を共にしていた原は、「6時30分から7時ぐらいまで待たされていた」と明かす。その努力が実を結んでの勝利。有村の良き理解者であり、良きライバルである原は、「本当に良い試合でしたね。良かった」と祝福の言葉を贈った。
雲の上の存在だった同郷の不動裕理と最終日最終組をまわり、プレッシャーにも屈せずノーボギーで競り勝てたことに対し、「初優勝よりも、そのことが自信になった」と話す有村。「この時期に1勝を挙げることができたので、あと2勝を挙げられるように頑張りたいです」。改めて口にした目標に、今や迷いや不安など微塵も感じられない。(編集部:塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。