チェ・ホソンはなぜ踊る 本人が“虎さんスイング”を解説
◇国内男子◇カシオワールドオープンゴルフトーナメント 最終日(25日)◇Kochi黒潮カントリークラブ(高知)◇7315yd(パー72)
2018年の日本ツアーのみならず、世界で一世を風靡しているチェ・ホソン(崔虎星/韓国)の変則スイング。インパクト直後にテニス選手のように右足を上げてクルっと回転し、ボールの行方を目で追いながら体を左右にくねらせる。6月に韓国ツアーに出場した際、SNSで拡散されたそのスイングにジャスティン・トーマスら世界のトップ選手も大ウケ。ところが“虎さん”自身は「僕はパソコンが全然できないから、よくわからないんだ」と苦笑いする。
曰く、現在のスイングに至ったきっかけは2010年頃までさかのぼる。「最近は若くて飛ばす選手が多い。飛距離を伸ばさないと勝つチャンスが減る」という思いからだった。「どうしたら飛ぶかなと考えた結果、スイングアークを大きくすることにした」
ジュニア時代にゴルフクラブを握った選手が周りには多い。チェは様々な職を転々とした後、25歳でゴルフを始めた。「だからどうしても体が硬い。もともとゴルフをするための軟らかさがない。それを補うためにクルっと回るようにしている。インパクトのパワーを最大限に伝えるために回転している」と解説した。
フォロースルー、フィニッシュで持ちあげたクラブが左右に踊る。虎さんも一緒に踊る。それにも理由があるらしい。「あれはインパクトの瞬間に左右どちらにボールが飛ぶのを感じて、体が反応している。体を右に曲げると、ボールも右に。左にすると左に行く」んだとか。2013年にワンアジアツアーを兼ねた「インドネシアPGA選手権」で初優勝した時のスイングとは「全然違います。少しおとなしい」と振り返った。
ツアーを通じてブームになりつつある、虎さんスイング。ただそれも「試行錯誤の途中」だという。「人の顔がそれぞれ違うように、ゴルフのスイングだっていろいろあっていい。ゴルフも自由に、自分のスタイルに合うようにすることで、楽しくなると思う」。クラブを握ってから独学で経験を培ってきた45歳の言葉は、ズシリと胸に響くものがあった。(高知県芸西村/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw