2016年 HEIWA・PGM選手権

谷原秀人が考える「賞金王」の価値とは?

2016/11/08 08:00
賞金トップに立った谷原は、その意味を考えながら賞金王を目指す

◇国内男子◇HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP 最終日(6日)◇総武カントリークラブ 総武コース (千葉)◇7214yd(パー70)

「マスターズに出場できればいいんですけど…」。池田勇太を逆転して賞金レーストップに立った谷原秀人は優勝記者会見で、初めて戴冠のチャンスがめぐってきた「日本ツアーの賞金王」の意味を見いだそうとしていた。

1週前、谷原は賞金レースでトップの池田に次ぐ立場だったが、国内ツアーには出場せず、世界ランキングの付与ポイントが高い「WGC HSBCチャンピオンズ」に参戦した。結果は大会54位で1.54ポイントの積み上げ(世界ランク変わらず)に終わったが、狙いとしては、当時71位だった世界ランクを、年末までに来年のマスターズ出場資格の一つである50位以内に上げ、2007年以来となる2度目のオーガスタの地を踏みたいというものだった。

マスターズの出場資格に世界ランクが導入された1999年大会以降、日本の賞金王は2013年まで、毎年出場してきた。これは出場資格に「前年の日本の賞金ランキング1位」があるためではなく、日本の賞金王が世界ランク50位以内という条件をクリアしてきたからだ。唯一の例外は04年賞金王の片山晋呉で、50位以内に入れなかったが、マスターズ委員会の「特別招待」で05年大会に出場した。

06年の日本ツアー賞金2位・谷原が07年大会に出場したのも、このケースと同様の「特別招待」。だが、14年賞金王の小田孔明、15年のキム・キョンテ(韓国)はいずれも50位に届かず、マスターズ委員会からの「特別招待」も届かなかった。この結果、15年、16年のマスターズには、米ツアーを主戦場とする松山英樹が日本人で唯一出場している。

条件としての明記があるかどうか?はともかく、「日本ツアー賞金王」という称号が、現実問題として海外メジャーの出場資格に関して大きな意味を持たなくなっている(※全英オープンには「前年の日本ツアー賞金ランク上位2位」の出場資格がある)ことに、谷原はもどかしさを感じているという。

「もし松山がケガやなにかで出場しなかったら、日本人は誰ひとりとしてマスターズの画面に映らない。大舞台に日本人がいないことほど、寂しいことはないと思う」

日本ツアーは、米国、欧州、豪州、南アフリカ、アジアの世界6大ツアーの一員として、WGC(世界ゴルフ選手権)の開催や世界ランキングの運営を行う「インターナショナル・フェデレーション・オブ・PGAツアーズ」(フェデレーション)を構成している。

日本の賞金王の価値を高めるためにも、フェデレーションの加盟ツアーの賞金王はマスターズに出られるようになれば…という思いは強い。谷原は日本ツアー選手会長の宮里優作や、日本ゴルフツアー機構会長の青木功らを巻き込むことも視野に、「選手会とツアーが一緒になって、もう一度、賞金王の価値を探っていきたい」と私見を語った。(千葉県印西市/糸井順子)

■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール

某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。

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