2016年 ホンマ・ツアーワールド・カップ

「これが実力」予選落ちの14歳アマが得たツアー初出場の収穫

2016/10/08 07:36
プロトーナメントで予選落ちの厳しい洗礼を受けたが、14歳のハートは強かった

◇国内男子◇HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF 2日目(7日)◇石岡ゴルフ倶楽部(茨城)◇7071yd(パー71)

ツアー初出場の夢舞台は2日間で終わった。14歳アマチュアの久常涼(ひさつね・りょう、津山市立津山東中2年)が、通算6オーバー93位で予選落ちした。マンデー予選を通過してつかんだプロとの競演は、その世界の厳しさを知る機会となった。

初日を「70」として49位で終え、予選通過に望みをつないだ。14歳28日で決勝ラウンドに進めば、ツアー史上2番目の年少記録だった(最年少記録は伊藤誠道の14歳21日)。2日目はバーディを先行させた。しかし、9番でティショットを大きく左に曲げて3オン3パットのダブルボギー。続く10番で約1mのパーパットを外し、リズムをつかめなくなった。「短いパットを外して、流れに乗れなかった。これが実力です」と、結局「78」をたたいて後退した。

3歳のころ、父・正人(まさひと=38)さんに練習場に連れて行ってもらったことが、ゴルフを始めたキッカケだった。「記憶はないでしょうね」(正人さん)と、当時4歳だった久常を連れて、初めてツアー観戦に出掛けたのは2007年5月「マンシングウェアKSBカップ」の最終日。石川遼が史上最年少優勝(15歳8カ月)を達成したシーンを見届けることになったのも、ゴルフに触れた過去と現在をつなげる貴重なエピソードだ。

久常は今年9月、日本ジュニアゴルフ協会(JJGA)の海外派遣試合で、ヨーロッパを主とする16カ国による国別対抗戦「エビアンチャンピオンシップジュニアカップ」(ザ・エビアンリゾートGC)に出場した。川村昌弘が初代チャンピオンとして名を刻む大会で、1学年上の三田真弘(さんだ・まひろ、岡山市立京山中3年)とともに出場し、団体戦、個人戦でいずれも優勝した。

今週は予選落ちに終わったが「一緒にまわったプロはとてもすばらしいプレーをしていた。本当に楽しかった」といい、「またプロのトーナメントに出たい」との思いを強くした。次なる目標を、11月「カシオワールドオープン」の本戦出場権を手にできる、JJGA主催の「ジャパンジュニアゴルフオールスター」(10月15日~、栃木県・那須小川ゴルフクラブ)での優勝に定めた。

「プロの試合に出られるように、まずは技術を磨きたい。難しいコースセッティングを経験して、慣れていきたい」という。憧れの選手は松山英樹で「人としても尊敬される、海外でも活躍できる選手になりたい」というのが将来の夢だ。

前週は、国内女子ツアー「日本女子オープン」をアマチュアの畑岡奈紗が制し、17歳の新ヒロイン誕生に注目が集まったゴルフ界。今や10代の選手がトーナメントを賑わせ、ジュニアゴルファーの選手層も厚い。何物にも代えがたい経験となった2日間。新たな目標を見つけた14歳の挑戦は、始まったばかりだ。(茨城県小美玉市/糸井順子)

■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール

某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。

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