“ナップンナムジャ” 微笑みの貴公子ソン・ヨンハンを知っていますか?
◇国内男子◇HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF 初日(6日)◇石岡ゴルフ倶楽部(茨城)◇7071yd(パー71)
バーディパットを沈めて、ニコッと微笑めば、ロープ外からは女性たちの甘い吐息が漏れる。韓国出身のソン・ヨンハン(宋永漢)が7バーディ、1ダブルボギーの「66」をマークして、首位と2打差4位の好発進を切った。
インからスタートしたソンは、クラブハウスリーダーを見据えた最終9番。ティショットを右ラフに曲げると、ラフを渡り歩いて第3打はバンカーへ。4オン2パットのダブルボギーとし、5アンダーグループに順位を落としてホールアウトした。「(終盤までは)すごくいいゴルフ。ピンチはなかった。(特別)これが良かった、というのではなくて、簡単なマネージメントでゴルフができた」と1日を振り返った。
優しい目とベビーフェースをサングラスで隠す25歳。NHK朝ドラで一躍有名になった俳優、ディーンフジオカを思わせる甘いマスクの持ち主だ。魅力なのは、その整った容姿だけではない。今季、国内男子&アジアンツアー共同主管で行われた「SMBCシンガポールオープン」で初優勝。4月の「パナソニックオープン」を除く、出場した国内12試合で予選通過を果たす安定感が光る。現在賞金ランク5位につけ、実力を備える新星だ。
その状況に、「ありがたく思っている。(賞金ランク)上位にいられることで、いい心持ちで毎試合、臨めている」と語りながら、「もっと頑張りたい。優勝したいなぁ・・・」と、次第にその声は小さくなった。勝利欲と、それを沈める心の距離感をうまくコントロールしているようで、器用な一面も垣間見える。「あなたの良い所は?」と尋ねると、「優しいです」と、なんともソフトな答えが返ってきた。
通訳によれば、「とても温厚な性格。プレー中もほかの選手への配慮を忘れない。でも優しいだけじゃない。勝負どころでは、しっかりとした決断力、オトコを見せるんです」という。韓国語で言えば、“ナップンナムジャ(悪いオトコ)”というのが、ソンを表現するに相応しい言葉だそうで、日本語のニュアンスなら“男気のある”という単語が当てはまるのかもしれない。
彼の温厚な性格を表すエピソードもある。ゴルフを始めたのは12歳の頃。父がプレーしていたことがキッカケだった。ほかにサッカーを経験したが「サッカーは体を激しく使うスポーツ。人と競い、ぶつかりあったりする。僕の性格には合わないのかなって・・・」。柔和に、さらりと言ってのける違和感のない回答。「貴公子」、「王子」・・・そんな言葉がピッタリで、女性ファンが急増中なのも頷ける。ソン様、いやソン・ヨンハンを覚えて下さい。(茨城県小美玉市/糸井順子)
■ 糸井順子(いといじゅんこ) プロフィール
某自動車メーカーに勤務後、GDOに入社。ニュースグループで約7年間、全国を飛びまわったのち、現在は社内で月金OLを謳歌中。趣味は茶道、華道、料理、ヨガ。特技は巻き髪。チャームポイントは片えくぼ。今年のモットーは、『おしとやかに、丁寧に』。