2016年 日本プロ選手権 日清カップ

充電4年目の元賞金王・伊澤利光 7月のツアー復帰へ始動

2016/05/19 08:00
「JOYXオープン」でプレーをする伊澤利光 ※大会提供写真

2012年シーズンを最後に国内男子ツアーから姿を消した伊澤利光が、復帰への階段を上り始めた。今年4月に行われた「北九州オープン」、そして5月の「JOYXオープン」と、ツアー外ながらも競技ゴルフに出場。「内容的にはまずまず」と、ツアー通算16勝を誇る48歳は静かにその手応えを口にした。

消えかかっていた闘志は、意外な形で再燃した。ツアーを離れた伊澤は、2014年に自身のゴルフアカデミーを福岡に設立した。翌年には東京にも開校し、アマチュアの指導を始めた。

「アマチュアを指導して、いろんな見方をするようになったし、もうちょっと前向きに考えなきゃなと思った。『なかなかうまくならないんですよ』『地道にやっていくしかないですよね』みたいな会話をしているうちに、俺もそうかなぁと思うようになって…」。

練習を重ねる中で、スイングはここ半年~1年で安定してきたという。全盛期には積極的に使っていた下半身の動きが、道具の進化に対応するためにはネックだった。だが、試合から離れたことで「腰でスルッと回るように」イメージが一新された。「試合に出たら力感とかがどうなるか知りたかった」と、次のステップに進んだのはごく自然の流れだった。

2日間競技の「北九州オープン」は80位。1日競技の「JOYXオープン」は首位と4打差の11位。「思ったよりやれた」というのが、この2試合の自己評価だ。「(久しぶりで)セッティングが分からなかったけど、ちょっとシャフトが硬すぎたのかなと。次は10グラムほど軽い(軟らかい)のを使ってみて、それでどれだけできるか自分の中で楽しみ」と、一歩ずつ前進している先行きへ語る言葉もポジティブだ。

「出る以上は優勝を目指してやりたい」というのが復帰への最低ライン。出場するだけではつまらない。今後は6月に芥屋GCで開催されるチャレンジツアーへの出場も検討しているが、レギュラーツアーでは2007年優勝で出場資格を持つ7月の「日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯」が当面の目標だ。

「出られる状態になっていたらすごくいい。あと1カ月くらいだけど、なんとかそこに持っていけたらいい」という。生涯獲得賞金25位以内の資格で行使できる1年間のシード権もまだ残っている。伝説のスインガー復活を待ち望む声は、きっと小さくないはずだ。(編集部/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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