“見えざる大混戦” 最終組の勝敗を分けたのは?
大混戦となった国内男子ツアー「HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF」最終日を制したのは、2打差を追ってスタートしたイ・キョンフン(韓国)。サンデーバックナインで5バーディを集中させる7バーディ、3ボギー「67」(パー71)をマークし、通算16アンダーで鮮やかな逆転優勝を収めた。
同じ最終組で2打差リードの単独首位から出た近藤共弘、イと同じ2位から追った宮里優作は、それぞれ通算15アンダーの2位、通算14アンダーの6位で終戦。終盤まで接戦の展開に加わったが、ともに伸び悩んだ後半が勝敗を分けた。
偶然にも2人の敗者の口から出たのは、コース内に3つしか設置されていなかったスコアボード。後半は15番グリーンまでスコアボードがなく、「流れを把握できなかった」と近藤は言う。
とくに後半は首位に4、5人が並ぶ大混戦とあり、「僕はあまりボードを見ない方だけど、僕の流れがあまり良くなかっただけに、どういう展開になっているのかは把握したかった」と近藤。直接の敗因には挙げなかったものの、「来年は改善していただければ、選手としてはありがたい」と続けた。
宮里も、11番から立て続けに1mを外した3連続ボギーを一番の敗因に挙げながらも、近藤と同じく周りが見えない優勝争いに戸惑った1人。「スコアボードが無くて、“バーディを獲っていかなくてはいけないのかな?”という感じでパットが強めになり、空回りする結果になってしまった」という。
一方の勝者は、2人とは異なる精神状態で“見えざる大混戦”を戦っていた。「スコアボードがあったら見ていたかもしれないけど、見つからなかったのでプレーに集中しようと。それが、良い方向にいったと思います」。微妙な勝負の綾を見た感覚だった。(茨城県小美玉市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。