ジョーダン・スピース、体調不良とも戦いながら――
実は、今週の「ダンロップフェニックストーナメント」招待選手であるジョーダン・スピースが会見場で記者たちと向かい合ったのは、この3日目のホールアウト後が初めてだ。
2週間前に中国で行われた「WGC HSBCチャンピオンズ」に出場したスピースは、その後、いったんテキサス州ダラスへ帰国。宮崎には今週月曜日の夜に入ったが、水曜日の朝に体調が急変した。
寒気とだるさ、さらに喉の腫れ。異国の地で経験する突然の体調不良に戸惑いながらもプロアマ戦に出場したが、ホールアウト後しばらく時間をおいて予定されていた記者会見は、事情を知る関係者がキャンセルとした。
その夜、スピースは38.2度の発熱をし、医師の診察を受けると咽頭炎と診断された。疲れが原因ということで、ここまで抗生物質と解熱剤を飲みながら戦っている。
首位と1打差に浮上した2日目の終了後は、選手とプレス運営側のコミュニケーションミスにより、トップの松山が会見をしている間にごく一部の記者たちの囲み取材で終了となったのは余談だが――。
もともとは松山英樹らと食事に出かける予定もあったというが、それもキャンセルして、昨夜なんとかホテルのレストランで鉄板焼きを味わったのが、本日時点での数少ない宮崎グルメの思い出とか。「体調はよくなってきているけど、朝と夜は少しきつい。日中は良くなっているし、徐々に回復はしているけど」。次週はオーストラリアの試合に出場予定で、ゆっくりできるのはしばらく先になる。
この日は17番で4パットのダブルボギーをたたいたが、それ以外はほぼ完璧な内容の「68」。「17番は残念だけど、それよりも最後の18番でのバーディパットをしっかり打って沈められたことが自信になって明日につながる」。最後はバンカーから3mに寄せて、スライスラインをねじ込んだ。
同組の松山の存在も当然大きなモチベーションだ。「これまで10~15回くらい回ったことがあるし、素晴らしい選手だということも知っている。いつもは自分の母国での戦いだけど、今回は彼の母国。これだけ多くのメディアやカメラマンを連れているのは、アメリカではタイガー(・ウッズ)やフィル(・ミケルソン)のような選手だけだから、本当にクールな経験だよ(笑)」。
主役の座を奪うのは、最後の最後で構わない。アウェーでの戦いは“花より実を取ればいい”と踏んでいるのか。(宮崎県宮崎市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka