2014年 日本オープンゴルフ選手権競技

行列のできる弁護士の息子 北村晃一が見る父とは

2014/10/18 18:17
3アンダー9位にじわりと順位を上げた北村晃一。さらに上位を目指し、ギャラリーの行列を作りたい

千葉県の千葉カントリークラブ梅郷コースで開催中の「日本オープン選手権競技」3日目。北村晃一が4バーディ、2ボギーの「68」(パー70)で回り、通算3アンダーとして9位タイに浮上した。日本テレビ系列で放送の「行列のできる法律相談所」などでお馴染みの北村晴男弁護士の2世が、国内男子メジャーの舞台で堂々のプレーを披露している。

6月のローカル競技「九州オープン」を制して今大会の出場権を手にした北村は、14位タイで決勝ラウンドに進出。「きょうは特別パターが入った」とムービングデーを振り返った。12番で6mを沈め、13番(パー3)はティショットをピンそば1.5mにピタリ。最難関ホールの14番では8mをねじ込んで、バックナインで3連続バーディを奪った。

幼いころから野球でならし、神奈川・桐光学園高時代には甲子園でベンチ入りした異色の経歴の持ち主。現在の主戦場は国内下部チャレンジトーナメントで、レギュラーツアーのシード権獲得が目下の目標の一つ。5月の「日本プロ 日清カップ」では初日5位発進を決めるなど「毎年毎年、だんだんと結果が出始めている」と手応えを感じている。

シングルの腕前を持つ有名人の父はこの日も観戦に訪れていたが、「ゴルフの他には会話がないですよね」と苦笑いする息子から見た“北村弁護士”はどんな人物だろうか。

「やっぱり専門職をやっているので、弁護士、法律家としてのプロ意識が強い。例えば大学で法律を勉強している人と、実際に(法律で)仕事をしているプロではまったく違う。だから、プロゴルファーという職業も非常に尊重するんです」

22歳でゴルフを始めたのも父がきっかけだったが、いまは話題がその日のプレー内容に及んだときも「『こうやった方が良かったじゃないの?』ではなく『あそこはどうプレーしたの?』というふうに話す」のだという。「自分(晴男氏)のゴルフでも、プロの教えは聞くけれど、アマチュアではどんなにうまい人が言っても、なかなか聞かないんですよ」という頑固な一面は、プロとアマの間に引かれた、本来なら飛び越えがたい一線に敬意を払っているからだろう。

静かな期待を受けて「トップ5に入れば来週も出られる。もちろん“一発シード”も頭の片隅に置いてプレーします」と話した29歳。真摯に、まっすぐに挑戦を続けている。(千葉県野田市/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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