PGA Tour Rookie / Ryo Ishikawa(9) 「65」の巻き返し実らず予選落ち 石川遼のパター事情
茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブ 西コースで開催中の国内男子ツアー「日本ゴルフツアー選手権 Shishido Hills」2日目。石川遼が奇跡の予選通過を逃した。初日「80」の大叩きで8オーバーの124位タイから出ると、序盤からバーディを重ねて猛チャージ。しかし8バーディ、1ボギーの「65」をマークしながらも通算1オーバーの72位タイでカットラインに2ストローク及ばなかった。
出だしの1番から2連続バーディ。絶好の滑り出しを見せた石川はこの2日目、多彩かつ精度の高いショットでバーディチャンスを演出し続けた。10番までに6バーディを奪取。初日最下位からの決勝ラウンド進出への光は、ホールを追うごとに強くなっていった。
ドロー、フェードと高さも自在に操る姿には「ああいうショットをしていれば向こう(米ツアー)でも通用するんだと思う」と同組の松山英樹も脱帽。16番(パー3)では、6番アイアンで「ストレートボールでは大きい」という184ヤードを、フェードをかけて距離を調整し、ピンそば20センチにつける一打で8つ目のバーディを決めた。
しかしカットラインまで2打に迫った17番。同じ6番アイアンで、第2打を今度はドローでピン手前4メートルにつけたが、続くパットがカップの左手前でピタリと止まりバーディならず。そして18番では第1打を右サイドのラフに曲げ、第3打のアプローチも寄せきれずに、ボギーフィニッシュ。週末のプレー機会を失い「最後は残念なホールだった。でもその100倍くらい、昨日のゴルフが残念です」と肩を落とした。
今季から本格参戦した米ツアーでもまれた成果、数々のショットを繰り出した。しかしやはりこの2日目の大きな改善点はグリーン上での戦いぶりだ。出場選手中最下位の平均パットの数字(2.1667)を残した初日の結果を受け、新たなパターを握った。これまで愛用してきたL字マレット型から、大きなモデルチェンジとなる「オデッセイ ホワイト・ホット プロ パター #7」。ネオマレット型を手にするのはキャリアで初めてだった。
4月の「マスターズ」以降、米ツアー6試合連続で決勝ラウンドに進出するなど、ここ2カ月の戦いは、予選落ちが続いた開幕直後とは一線を画す。しかし、もうひとつ好成績が続かない一番の理由はやはりパッティング。ストロークが安定せず、とりわけスライスラインを残した時に問題があった。
L字マレット型のパターは、緩やかな円軌道、ヘッドの大きな開閉の動き(イン・トゥ・イン)でボールを打つのが定石。これがフックラインの際には正しいストロークができていたが、スライスラインではカット気味に近い形でヘッドが入り、ボールが捕まらないままカップの手前で切れるシーンが目立っていた。
しかし、イン・トゥ・インではなく、バックスイングからフォローまでストレートに近い軌道を描くこの大型ヘッドのパターを握る決断をしたことで、取り急ぎ、この悩みは解消された。今後もストロークの矯正や、オプションとしてこのニュークラブを使用していくという。
この日の出来には手応えが大いにある。だからこそ石川は「なんで水曜日(開幕前日)に気付かなかったんだろうと思う。そういうところに敏感になりたい」と口惜しそうに話した。同い年の松山英樹の前で見せた、屈辱と手応えの2日間。36ホールで終わってしまった戦いだが、来季のシード権獲得への確かな力となるかもしれない。(茨城県笠間市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw