再び頂点へ!尾崎将司の戦いは続く
どんなに苦しそうなプレーを見せていても、ひとつのバーディ、ひとつのナイスパーで盛り上がれる。「つるやオープン」3日目、全盛期とは比べようもない体の状態で戦う尾崎将司の組について応援するギャラリーは、みなが同じ気持ちだったのではないだろうか。
「初日は休んだあとだったから、体も随分良かったけど、日ごとにな・・・。日々成長じゃなくて、日々落ちちゃうんだから嫌んなっちゃう」と尾崎はぼやく。
通算8アンダーからスタートした第3ラウンド。3番ではティショットを右の林の中に打ち込み、崖下の枯れ葉の上からの2打目は、ダフリ気味でグリーン手前の池に入れてしまう。だが、ドロップ後の4打目を2メートルにつけてボギーで切り抜けると大きな歓声が沸き起こる。
続く4番でも、バンカーからの2打目が右に出てしまい、グリーン横のカート道へ。寄せきれずにボギーとする。だが、直後の5番(パー3)でピン上2.5メートルを沈めてバーディを奪い返した。
「微妙な体重移動とか、タイミングのずれとか。なかなか、自分の思っている感じで出来ないな」。この10年、歳を経るごとに練習量、トレーニング量は反比例して増えているという。それでも、自然の衰えに抗うことはままならない。
8番で2メートルを沈めてバーディとし、スタートの8アンダーまでスコアを戻す。続く9番は、グリーン左のバンカーに入れ、4メートルに寄せるのが精一杯。だが、大ギャラリーの前でこのパーパットを沈めると、バイザーのつばに手を掛け“どや顔”を披露。自然と笑みがこぼれた。
後半1つスコアを落として通算7アンダーでフィニッシュした尾崎は、首位と8打差の22位タイ。「でもな、こういうことが今年はあるわけだから。この一週間はそう言う意味では良い一週間にしたいな」。どんなに凹まされても、先を見つめる尾崎の気持ちが折れることはない。
「もう1日な。こういう中でも自分のゴルフができるような策を講じないといけないな。明日はその策を探すとするよ」。夢ではない。66歳の現役ゴルファーがレギュラーツアーで再び頂点を目指す現実の戦いが、そこにある。(兵庫県川西市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka