2013年 タイランドオープン

藤本佳則は無事ホールアウト!先輩、谷原は・・・

2013/03/16 07:54
日が西に傾き始めた16時40分にプレーを再開した藤本佳則

乾季のタイに突然襲った雷雨は、約2時間20分の中断を余儀なくされ「タイランドオープン」の第2ラウンドは日没サスペンデッドとなった。日没予定は18時30分、選手たちは時計とにらめっこしながらのラウンドが続いた。

2日目にホールアウト出来なかったのは37名。16番パー5のプレー中にサスペンデッドとなった谷原秀人は、クラブハウスに戻ると、大学の後輩・藤本佳則を見つけ「終わった?」と声をかけた。谷原の期待した回答とは異なり「はい」という返事を受け「いいなー」と深いため息まじりに口走った。

藤本のホールアウトも日没寸前だった。サイレンが鳴らされたとき、藤本は18番でプレー中だったからだ。日没サスペンデッドを知らせるサイレンは、鳴った時点でティショットさえ済ませていれば、自己判断でそのホールを終わらせることが可能。選手の心理に立てば、翌日の早朝からラウンドするよりは、少しでも時間を作れるようホールアウトしたいもの。

実は藤本の1つ後ろでラウンドしたキム・キョンテ(韓国)とタワン・ウィラチャン(タイ)もぎりぎりホールアウトを済ませた。藤本組が18番でティショットを行ったのは18時20分。2打目の地点に向かうと、前組のハン・リー(韓国)がグリーン方向から戻ってきた。ハンの2打目がグリーン左サイドの池か縁に止まっているか薄暗く打球が確認出来なかったので、その付近に行ってはみたがボールが見つからず、最後にフェアウェイと横切ったと思われる地点まで下がってきたのだ。

「なんかトラブルがあったんだ・・・」程度に考えていた藤本は、ふと背後を振り返ると、ホールアウトしたくて急いで17番を終えた2人がティグラウンドに向かっていた。パー3のホールではたびたび見かける光景、自分たちがプレー中にもかかわらず、藤本組の3人は両サイドに身をかわし、その2人にティショットするよう促した。

そして、ようやく藤本が2打目を打つことが出来たのだが、ちょうどその時にサイレンがコース内に鳴り響いた。藤本たちが背後の2人の気持ちを察し、ティショットを打たせたことで、キョンテとウィラチャンも暗闇迫る中で早起きを免れることができた。

日没の影響を受けた選手は3日目の朝6時40分からプレーを再開するため、5時ぐらいにはクラブハウスに出向きスタートの準備を行う。一方、ホールアウトを済ませ、決勝第1ラウンドを控える暫定13位タイの藤本、暫定42位タイのキョンテとウィラチャンは、9時50分以降に予定されているスタート時間に向けて準備をすることになる。おそらく起床時間は3時間程度は異なるはずだ。

キョンテとウィラチャンが藤本組の3人に感謝の言葉を述べたかは定かではないが、紳士のスポーツゴルフは、そうした配慮も大事。残念ながら3ホール残した谷原が、藤本に送った羨望の眼差し、そして「いいなー」のひと言は、3時間という貴重な時間を掴めなかった本気の嫉妬心だった。(タイ バンコク/本橋英治)

2013年 タイランドオープン