石川遼に髪を切らせた、ひとこととは?
国内男子ツアーもシーズン終盤戦を迎え、最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」まで残すところ4試合。その一方で前週は、中国で行われた「WGC HSBCチャンピオンズ」には6人の日本勢が出場したものの、ほとんどの選手はトーナメントの無いオープンウィークに。各選手、夏場から連戦が続いたが、7月の「全英オープン」以降、毎週試合をこなしてきた石川遼は実に16週ぶりにオフを過ごした。
期間中、石川は関東近郊でのべ3日間は練習ラウンドに出たものの、心身ともにリフレッシュ。世界でも稀に見る年間出場試合数を誇る選手のひとりだが、休養明けの8日(木)に開幕した「三井住友VISA太平洋マスターズ」初日を終えると「一日を通して心に波が立たなかった。集中力の体力がマックスに戻っていた」と、その効果は小さくなかった。
ところでそのオフを利用して、石川は久々に髪を切った。これまでも、整える程度に毛先をそろえたりはしていたが、今回は昨夏以来、肩まで伸びていた襟足をカット。「このくらい」と示す、右手親指と人差し指の間隔は10センチ以上。“断髪”というほどではないかもしれないが、ひとまず伸ばすのを止めたそうだ。
きっかけは先輩プロのひとことだった。「伸ばそうと思ってたんですけど、(矢野)東さんと話していたら、『どうせならずっと伸ばしちゃえば』って言われて。それで切ろうと思いました。『伸ばしたほうがカッコいいよ』と言われて、絶対そう(カッコイイと)思ってないはずだと思ったので。決心しました」と苦笑いする。ボリュームを少し抑えたことで、この日はキャップではなくサンバイザーを着用。試合では昨年の春以来となったが「やっぱり、しっくり来るなあと思った」。アマチュア時代からのトレードマークのひとつを久々にまとい、それがどれだけが効果として表れたのかは分からないが、5アンダーの2位タイと好発進を決めた。
ツアーであらゆる選手よりも先んじて、ワークキャップやダメージ加工のベースボールキャップを着用していたのは矢野だった。ところで石川によれば、その“ファッションリーダー”も最近はちょっと苦しんでいるとか。「東さん、もう『ネタがねーよ』って。『ゴルフってこれ以上、どうやったらオシャレに見せていけるのかな』って・・・行き詰ってるみたいです。『全部やったけれど、どれもゴルフに合わない。なかなかカッコよくならないんだよなあ』って。僕もサンバイザーに合う髪型を考えているけれど、まだまだ模索中」。
チーム全員が同じユニフォームを着用したり、あるいは、それが“まわし”や水着だったりという他のスポーツに比べ、やっぱりゴルフはファッションにおいて選手の自由度が高い。だからこそ、朴訥に好スコアを追求するのはもちろんだが、外見で精一杯自分を表現をするのも、賞賛されるべきプロ意識だと思う。(静岡県御殿場市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw