山下和宏、いいひと返上!攻める気持ちで行きます
「マイナビABCチャンピオンシップ」の初日、7バーディ、ノーボギーでラウンドし2位に1打差をつけて単独首位スタートを切った山下和宏。今季は4試合でトップ10入りを果たしているが、優勝争いという位置でのラウンドができていない。
その理由を本人は「今まで、欲を出さなかったというか、ある程度のところで満足してしまっていました」と分析する。取材をしていても、気さくで会話好きな山下は、1つ質問すると自身がその場で思ったことに「でも、こういうこともありますね。そういえば…」と、2つ以上の回答が浮き上がり、話は尽きない。
見た目のさわやかなイメージ通り、人の悪口も言わない一方で、誰かに「勝ってやる」という気概もあまり見せないのが山下だった。ところが、「今週は違いますよ!」と鼻息は荒い。
山下をやる気にさせる要素はいくつもある。
まずは仲が良く年は山下よりも下だがライバルとして戦う上平栄道の存在。今季は開幕戦から好調を維持し、何度も優勝争いに加わっている上平に対し「あいつは早々に日本シリーズ進出も決めたし、自分も追いついて追い越すことを考えています」と、最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に出場し、そこでも上位に入ることを狙う。
そして、同じ関西勢として大先輩の谷口徹の存在。「先週(ブリヂストンオープン)の3日目に谷口さんと一緒にラウンドして、ショットは曲がるのに最後まで諦めないしぶとさには驚きました。あの3日目があって優勝につなげましたから。谷口さんは自分の“師匠”ではなく、必ず追い越したい存在です」と、現在の日本ゴルフ界でもトップクラスの選手をライバル視する。
さらに大会前日のプロアマ戦の表彰式で、主催のマイナビ代表の中川氏から「山下くんは初日はいいんだけど…」と檄を飛ばされたこと。これは山下自身が分かっていることだが、中川氏から言われたことが心に刺さったと話す。
「今日も前半伸ばせたので、今までの自分だったら『これぐらいでいいかな』という気持ちが出てしまうのですが、最後までスコアを伸ばす気持ちでやりました。先週も最終ホールでスコアを落としていたので、今日はやりきった感があります。まだ3日ありますが、守りに行って逃げるゴルフはしたくない。攻めるところはしっかりと攻めてスコアを伸ばせるようにやります」。
周囲からの刺激で目覚めた38歳が、残り3日間大会の中心にいられるか。気持ちを切り替えるという話は山下から何回か聞いたことがあるが、今回は果たしてホンモノだろうか。最終日に「また、やっちゃった・・・」と屈託の笑顔で肩を落とす姿だけは見たくない。(兵庫県加東市/本橋英治)